赤穂民報

「過失の原因知りたい」医療過誤被害家族の声(10月1日)

 医療過誤訴訟で赤穂市と当時の主治医を訴えている患者家族が赤穂民報のインタビュー取材に応じた。

 * * *

――なぜ、裁判に訴えたのですか。

 「当初は全く裁判は考えておりませんでした。2020年6月2日に病院4階の応接室で藤井隆院長(当時)から『手術を担当した医師による手技上の過誤があった』『かなり技術的な問題が第三者の医師によっても指摘された』との説明があり、『今後誠意をもった対応をしていく』とのことでしたので、ちゃんと対応してくださるものと信じていましたし、私自身も円満解決を望んでいました」

 「しかし、1年経っても具体的な和解条件の提示はなく、それどころか、事故を過小に評価させるような動きまで見られました。また、『同じ医師が執刀した他の患者様の手術でも過誤を含む多くの医療事故が起きていて、死亡者まで出ている』『臨床工学技士からは殺人に近い行為に加担することは出来ない、共犯者になりたくないという理由でボイコットまで起きている』という話を聞き、私は医師を懲戒免職にするか、それができないならせめて記者会見を開いて問題を公にするよう病院にお願いしました」

 「しかし、聞き入れられることはなく、『公務員は守られている』という不誠実で一辺倒な回答でした。医療従事者からも『〇〇先生に外科医を続けさせたくない』『示談せずに公にしてほしい』と要望され、悩んだ末に裁判に踏み切りました」



――病院は「裁判になる前から和解の話はしていた」と説明しています。

 「先ほども申しましたが、『今後誠意をもった対応をしていく』との発言と意向伺いの連絡はあったものの、病院側から具体的な金額を伴った和解案の提示を受けたことは一度もありません」



――病院は今年6月28日の記者会見で「裁判の長期化を回避することで原告の負担の軽減を図ることができるのではないか」として和解を申し出る意向を示しました。和解の提案はありましたか。

 「ありません。会見を開いたという連絡すらありませんでした。会見での発言は何だったんだろうと思います。『過失は認めている』とおっしゃっていますが、私は『なぜ過失が起きたのか』『なぜ多くの医療事故を起こしている医師に医療行為をさせ続けてしまったのか』についても知りたいのです。裁判になる前、病院に医療事故の検証資料の開示を求めましたが、『裁判所から言われない限り、患者であっても開示できない』と断られました。なので、裁判で明らかにするしかないと思っています」



――病院に望むことはありますか。

 「母は手術当日まで自分の足で歩いていました。出来ることなら母の身体を手術前の状態に戻していただきたいというのが本心です。しかし、それはもう不可能だと主治医から説明を受けました。せめて本当に『原告の負担の軽減』を考えていただけるのなら、これ以上、裁判を引き延ばすようなことをせず、証拠書類を裁判所に提出し、誠実に対応してくださることを切に願います」

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