赤穂民報

誤った部位に注射し後遺障害 1500万円で和解へ(2月25日)

 赤穂市は24日、ワクチンの注射針を誤った部位に刺したことによって腕に後遺障害が生じた医療ミスが赤穂市民病院であり、被害者の市内在住50代男性に解決金1500万円を支払うことで和解する見込みとなったと発表した。

 病院によると、2016年11月に同病院健診センターで左腕にインフルエンザワクチン接種を受けた男性が左ひじ関節付近に痛みとしびれを訴え、翌年1月になっても改善がみられないと申し出があった。

 調査した結果、神経が複雑に走っている部位に針を刺したことによる神経損傷の可能性が判明。医療事故調査委員会は開かず、月1回定期開催している医療安全推進委員会(同年3月15日)で「刺針を行った部位に誤りがあったことは明らかであり、過失は免れない」として医療過誤と認定したという。

 男性の症状はその後も悪化し、19年9月に別の医療機関で複合性局所疼痛症候群(CRPS)と末梢神経障害性疼痛の後遺障害と診断された。現在も左上肢の強い痛みと左手指を開けない状態が続いているという。

 病院はミスの原因を「手技的な過失があった」とし、接種を担当した看護師に対し、接種に適した部位を指導する再教育を行ったほか、院内に事案を周知して再発防止を図ったという。

 医療事故調査委員会を開催しなかった理由は「医療事故報告書が提出された時点では、医療事故レベルは『レベル3b』(事故により濃厚な処置や治療の必要性が生じた場合)で、当時の規定では事故調を開く必要のないレベルだった。後に神経損傷の可能性や後遺障害が判明したが、レベルを付け替えることはない」(医療課)としている。

(誤った部位に注射針を刺したことによる医療ミスがあった赤穂市民病院)

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