赤穂民報
障がいのある園児に虐待か 県が改善指導 施設側は否定(5月13日)
赤穂市が運営する南野中の児童発達支援施設「あしたば園」で、障がいのある園児に対し職員が心理的虐待を与えていた疑いがあるなどとして、今年2月に兵庫県から改善指導を受けていたことが県などへの取材でわかった。
一方、施設側は指導には応じながらも、「『虐待』に当たる言動は確認されなかった」としている。
赤穂市が開示した文書によると、特定の児童4〜5人に対して不適切な支援を行っているとの通報が昨年12月にあり、県と共同で施設職員への聞き取り調査を実施。その結果、「管理者(園長)は、園児に対する暴言や心理的外傷を与えるおそれのある言動を行っていた疑いのある職員について、度々報告を受けていたが、事実確認、発生原因の究明、再発防止策を十分に講じていなかった」と県から指摘された。
県は、同施設を運営する市に対し、2月10日付けで改善と是正を文書で指導。園児の心身に有害な影響を与える行為を行わないように求めるとともに、児童の意思や人格を尊重した適切な訓練・指導、職場環境の確認と必要に応じた改善、虐待防止の研修などを行った上で、措置した状況を文書で報告するよう求めた。
市は指導を受け、研修と虐待防止マニュアルの内容確認を実施。個別指導を行う場合は、個室ではなく複数の職員の目が行き届く保育室で実施するよう是正したなどとして県へ3月22日に報告したが、そこには虐待があったとされる時期や内容などについて一切記載されていない。
園児への虐待はあったのか、なかったのか。同施設は赤穂民報の取材に、「虐待があったとは思っていない」(児童発達支援事業運営管理者)と否定。「県から『事実確認する必要はない』『詮索してはいけない』と言われている」として、これ以上の真相究明は行わない考えだ。
一方、県は「一般論としては、何も問題のないところに改善や是正の指導を行うことはない」とし、これまでの調査で何らかの問題を把握済みであることを示唆。「暴言や心理的外傷を与えるおそれのある言動」の具体的な内容については、「当方からは言えない。まずは、あしたば園が事実確認すべきこと。『詮索してはいけない』と指導したのは、通報者が誰なのか詮索してはいけない、という意味」(龍野健康福祉事務所監査指導課)と施設側の解釈と大きく食い違いを見せている。
同施設は、心身の発達に支援が必要な小学校就学前児童に日常生活の基本的な動作の指導や集団生活への適応訓練などを行っている。
あしたば園への主な取材やり取りは次のとおり。
――県の指導を受けて、どのように対応したのか。
「園長をはじめ全職員(正規4人、会計年度3人)に『普段の保育や指導の中で気にかかることはないか』と質問した。その結果、『助け合って保育している』などと回答があったが、虐待に当たるような話は出てこなかった」
――虐待はあったのか、なかったのか。
「虐待があったとは思っていない」
――問題がなかったのであれば、『是正』や『改善』に応じる必要はないのでは。
「疑念を持たれたこと自体が好ましくないので、より一層、徹底するために研修や確認を行った」
――県は職員による虐待に関して、『(園長が)度々報告を受けていた』と指摘しているが事実か。
「『報告』というか『相談』が1回あったが、『度々の報告』を受けた認識はない」
――その相談があった時期は。
「記録を残していないのでわからない」
――相談の内容は。
「相談者がわかってしまうおそれがあるので答えられない」
――相談を受けて、どのように対応したのか。
「事実確認が必要と思い、(園長が)現場に入るようにした。しかし、虐待に当たるような場面に遭遇することはなかった」
――県は「まずは、あしたば園が事実確認すべき」としているが、事実確認からやり直す考えはないか。
「県からは『事実確認する必要はない』『詮索してはいけない』と言われている」
(障がいのある園児を職員が虐待した疑いがあるなどとして兵庫県から改善指導を受けた児童発達支援施設「あしたば園」が入っている赤穂すこやかセンター)
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