赤穂民報

産廃汚泥を「不法投棄」 現場から六価クロム検出(6月17日)

 生コンクリート工場で排出された汚泥を適正に処理・処分せず、工場敷地内に堆積していたとして、兵庫県が産業廃棄物の「不法投棄」事案として事業者を指導していることがわかった。

 事業者が実施した土壌検査で現場から有害物質の六価クロムが検出されたが、県は「基準値以下で、現時点で周辺環境への影響は確認されていない」としている。

 指導を受けたのは、建設土木会社「播磨土建工業」(江見治社長、本社・上郡町井上)。西播磨県民局環境課によると、今年3月に「産廃を不法処分している」との通報があり、同町釜島の同社工場を立ち入り調査した結果、生コン運搬車を洗浄した際などに出る汚泥(コンクリートスラッジ)を敷地内で野ざらしにし、上から別の土をかぶせていたことが判明したという。

 指導を受けて同社が県へ提出した報告書では、汚泥を工場敷地内に堆積したのは「数年前」からで、かぶせた土砂を含めて総量は「約3500立方メートル」とされている。江見社長は赤穂民報の取材に「中間処理するまでの間、仮置きしていただけ」として不法投棄を否定したものの、「(コンクリートスラッジは)コンクリートがらだと考えていた。法律を誤解していた」とも話しており、工場開設当初から常習的に不適正な処分を行っていたとも疑われる。

 コンクリートスラッジは強アルカリ性の産業廃棄物。また、高含水の状態が続くとコンクリート原料のセメントに含まれる六価クロムが溶出するため脱水固化などしてリサイクルするか、最終処分場に処分しなければならない。業界関係者の話では、1トン当たりの費用は中間処理で6000円〜1万5000円程度、最終処分だと3万円〜3万5000円程度がかかるという。

 同社は県の指導を受けた改善計画の一環で今年5月に水切り設備を導入したが、それ以前は沈殿用プールに入りきらなかった汚泥を素掘りの穴に入れて乾燥させていたという。
 同課によると、同社が実施した六価クロムの溶出量検査で、素掘りの穴にあった汚泥から1リットル当たり0・04ミリグラム、汚泥除去後の素掘り穴の底の部分から同0・02ミリグラムが検出されたという。工場は千種川と高田川に挟まれた位置にあり、敷地に降った雨水が河川に流出した可能性もあるが、県は「環境基準(0・05ミリグラム)は下回っており、現時点で周辺環境への影響は確認されていない」とし、「県独自で環境調査を行う予定はない」と話している。

 同社ホームページによると、同社は1924年創立。釜島の生コンクリート工場は65年に操業開始し、2007年にJIS認証を取得した。4年前には県発注の唐船海岸環境整備工事で発生した残土を違法に処分した子会社が、県の入札参加資格を3年間停止される行政処分を受けた。

(産業廃棄物のコンクリートスラッジを「不法投棄」していた播磨土建工業の生コンクリート工場)

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