赤穂民報
移住の若者2人が栽培 桃とブドウ出荷へ(7月15日)
「赤穂からおいしいフルーツを消費者に届けたい」と市外から移住した若者2人が栽培する大津の果樹園「赤穂フルーツ農園」で、3年前に木を植えた桃とブドウが実をつけた。初めての本格的な収穫期を迎え、出荷作業に励んでいる。
約1ヘクタールの農地にネットで囲んだハウスが並ぶ。「あかつき」「川中島白桃」「清水白桃」など8種類の桃計約340本と「藤稔」「シャインマスカット」など5種類のブドウ計約100本が植わっている。早生種の桃の木にはすでにピンクに色づいた果実が実り、近づくと甘い香りが漂う。
栽培しているのは神戸市出身の小川敬生(としお)さん(30)と加古川市出身の榊原昂輝(こうき)さん(30)。2人は兵庫県立農業大学校の同期だ。卒業後、一旦は肥料メーカーや農機具販売会社に就職したが、子どもの頃から興味があった農業にチャレンジしたいと脱サラ。いくつかの候補地の中から赤穂を選び、2019年の秋に移住した。
一戸建ての空き家を借りて共同生活しながら休耕地を約1ヘクタールを耕した。新規就農者向けの補助金制度を活用し、栽培に必要なハウスは支出を抑えるため自分たちの手で建てた。一本ずつ願いを込めて植えた果樹の幼木は酷暑に負けず順調に生長。ようやく出荷の目途が立った。
「農地を貸してくれた方をはじめ、多くの方の協力のおかげで、ようやくここまで来れました」と小川さん。榊原さんは「将来的に大津で家を構えて、農業専業で家族を養いたいと思っています」と赤穂の地に根を下ろして農業に取り組むつもりだ。
早生種から順に桃は今月中旬から9月初旬まで、ブドウは8月20日ごろから1か月ほど収穫し、今季の出荷量は合計約2トンを見込む。果樹が根を伸ばす範囲を絞る「根域制限栽培」を採用しているため降雨の影響を受けにくく、安定した糖度の果実を出荷できるという。すでに市内のジェラート店に材料として卸す契約が成立し、今後もケーキ店や飲食店などにセールスすることも検討している。
「量より質にこだわりたい。しっかり選別して良いものをお客さんに届けられるように頑張るので、ぜひ一度食べてみてください」。桃は「旬彩蔵赤穂」(元町、TEL43・5150)で中玉(4玉入り)820円、大玉(3玉入り)930円で好評販売中。7月22日(土)には午前9時から2人で店頭直売(試食あり)する。
(本格的な出荷に向けて桃の収穫に励む小川敬生さん(左)と榊原昂輝さん)
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