赤穂民報

お寺で読書とひとやすみ「人生の休憩所」(9月9日)

 静かに時間が流れる空間で読書などしながら人生に向き合えるひとときを提供しようと、坂越の妙道寺(坂越1444、坂越まち並み館隣り)で9月17日(日)と18日(月・祝)、絵本や随筆などの書籍を貸し出す「人生の休憩所―静詠(しずよみ)」が2日間限定で開設される。

 慶応大学通信課程の文学部哲学科で学ぶ中西壮さん(22)=加里屋=と他大学の学生仲間でつくるグループ「むつろみ」が主催。「心を豊かにする本」をコンセプトにメンバーたちが選んだおすすめの約100冊を貸し出し、来場者は本堂や縁側で読むことができる。また、地元店舗の協力でコーヒー牛乳やミルクセーキなどのドリンクを提供(有料)するほか、読書の合間の息抜きに竹とんぼやシャボン玉といった昔遊びも用意。レトロで穏やかな雰囲気をかもし出す。

 思春期に人間関係に悩み、一時は人に会うことに恐怖を抱えたという中西さん。コロナ禍で在宅時間が増えた中、読書三昧の日々を過ごしながら自己の内面を見つめ直した。ある本で目にした「悪があるから善がある」という言葉に「善と悪、二者択一ではなく、相補いながら同時に物事を作っているんだ。要はバランスなんだ」と気付き、心が楽になったという。

 社会復帰した中西さんは神戸市内の会員制ビジネス交流拠点「アンカー神戸」に登録し、さまざまな立場や職業、価値観の人たちから前向きな刺激を受けた。「自分に出来ることは何か」と自問して見つけたのが、「経験を活かして、人の心に寄り添える静かで温かい時間と空間を提供したい」という答えだった。

 アンカー神戸で知り合った同世代のメンバーとグループを結成。「人生の休憩所」の常設を目指してプロジェクトを企画した。試行イベントの第1弾となる今回の会場に「地域が培ってきた文化や生活の匂いといった人と自然の温もりがある」(中西さん)として坂越を選び、妙道寺の楠千之住職に飛び込みで会場使用を依頼したところ二つ返事で許可をもらえた。イベント情報とともに地域の魅力もSNSで発信する狙いもあり、赤穂市が観光イベントの開催費用を補助する対象事業にも採択された。

 「自分が立ち直れたのは、一度立ち止まる時間と空間があったから。『無駄』と思われがちな『ゆっくり考えること』が必要だった」と中西さん。「自分の経験と想いが、同様の悩みを抱える人たちに共有されれば幸いです」。

 両日とも午後1時〜6時開催。入場料(当日券)500円(境内、本堂縁側は無料)。ウェブサイト(https://chakeo123.github.io/muturomitest2/)で前売り券販売中。問い合わせはTEL070・2324・1359。

 インスタグラムはhttps://instagram.com/mutsuromi._6263?utm_source=qr&igshid=MzNlNGNkZWQ4Mg%3D%3D

(「人生の休憩所―静詠(しずよみ)」の会場となる坂越の妙道寺と主催の中西壮さん)

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