赤穂民報

市民病院の患者数減が深刻 診療単価増だけでは目標達成困難か(12月24日)

 赤穂市民病院(高原秀典院長)の今年度上半期(2023年4月〜9月)の経営状況が示され、経営改善の基準年とする20年度の同時期と比べて入院、外来とも患者数が減少した。病院は「下半期も回復は期待できない」と見込み、「今年度の改善目標達成は厳しい状況」としている。

 22日にあった市議会の「市民病院経営改善調査特別委員会」で病院が示した資料によると、今年4月以降半年間の延べ患者数は、入院は3万7081人で3年前の4万2242人から12・2%減少し、一日平均では28・2人のマイナスとなった。3年前は7万5554人が受診した外来も7万0674人と6・5%ダウン。一日平均では49・3人減った。

 一方、診療単価は、入院5万8732円(20年度同期の5万5912円から5・0%増)、外来1万7282円(1万3892円から24・4%増)といずれも上昇。一般会計からの繰入金3億円、新型コロナ休床・空床補償約9000万円などを加えた病院事業収益は20年度の36億6863万円から9・1%増の40億0114万円に増加した。

 患者数の減少を診療単価の上昇と一般会計からの繰入金、新型コロナ休床・空床補償でしのいだ形。病院は今後も患者数と診療単価の増に努める方針だが、入院患者の減少に連動して手術件数も減少しており、病院は「診療単価の上昇による収益増だけでは患者数の減少による収益減をカバーすることはできず、20年度の入院・外来収益をともに下回る可能性がある」と予測。下半期も現状の患者数のまま推移した場合の今年度の純損失を「8〜10億円程度になる見込み」とし、2024年度も「同じように推移すると考えている」と深刻にとらえている。

 特別委では、さらなる一般会計からの繰り入れを行う考えがあるのかとの議員からの質問に、溝田康人副市長は「まずは病院が集患に努める。市としては可能な限り最大限の支援を行っていくことに変わりはないが、他の市民サービスに影響が出ないよう、慎重に考える必要はある」と述べた。

 また、病院が掲げる経営改善目標を達成できなかった場合の対応について、溝田副市長は「2年連続で目標達成できなかった場合、経営形態の見直しを諮問するということに変わりはない」とした上で、「2年を待たずして見直すべきという選択肢も否定せずに検討していきたい」と言及した。

 赤穂市民病院の経営形態をめぐっては、昨年4月、病院が「経営改善の目標値を2年連続で達成できなければ、経営形態の見直しを即座に外部有識者委員会に諮問する」との方針を表明。外部有識者会議の「赤穂市民病院経営改善検証委員会」(委員長=谷田一久・東京都立大学客員教授)は「拙速に判断できるものではない。引き続き協議する」と慎重な姿勢を示している。

(入院、外来とも患者数が減少している赤穂市民病院)

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