赤穂民報

美化センター焼却炉 予定外の稼働中止(3月16日)

 赤穂市内の家庭や事業所から排出された一般ごみを処理する中広の赤穂市美化センターで、今月11日から焼却炉の稼働を休止していることが関係者への取材でわかった。

 美化センターは休止の理由を「点検や故障ではない」としており、周世の不燃物最終処分場への焼却灰搬入をめぐる事情が背景にあるとみられている。

 市の不燃物最終処分場は相生との市境に近い山の頂上付近に1984年に竣工。美化センターから排出される焼却灰と再資源化できない不燃物を埋立処分している。2012年度末時点で全容量22万7500立方メートルの約8割に当たる約18万立方メートルを埋め立て済みで、市の計画では今後の年間処分量を1700〜1800トン台に抑えることにより37年度末まで受け入れ可能な見通しとなっている。

 処分場の周辺一帯の山林は、かつて複数の地権者が所有していたが、麓で残土処分場を運営する市内事業者が残土処分場の新設を視野に買収。市の最終処分場への搬入路もその範囲に含まれることがこのほど判明した。事業者側は今年1月、残土処分場の新設に支障のない場所に搬入路を新たに整備する移転付け替えを提案。新ルートに必要な土地の提供と樹木の伐採・抜根は事業者側が無償で行い、舗装は市側の負担で行う、新ルートが通行可能になるまでは現ルートの使用料を引き続き請求しない、との条件を示したという。

 事業者側によると、市は提案に前向きで、1月下旬には牟礼正稔市長からも「よろしくお願いします」と電話があったという。今月5日の担当者レベルでの話し合いでは「整備スケジュール案まで話が進んだ」(事業者)が、同日午後になって市側から「この話はなかったことにしてほしい」と"白紙撤回,,を告げられたという。

 そればかりか、牟礼市長は7日、正副議長が同席した事業者との面談で、「処分場には週明け(11日)から廃棄物を持ち込まない」と明言。さらに、11日には関山善文・市民部長から「3月末で処分場を閉鎖することにした。それまでに処分場から車両や備品などを搬出し、4月以降は搬入路を使わない」と連絡があったという。

 一連の市の対応に事業者は「焼却灰は法律に基づいて処分しなければならず、処分先を見つけるのは簡単ではない。もし、民間処分場に持ち込めば処分費は莫大な額になる。まだ15年も使える周世最終処分場を閉鎖するなど理解できない」と首をかしげる。また、最終処分場を廃止するには最終覆土した上で浸出水から検出される有害物質が基準を下回る安定化まで施設を維持管理しなければならない。埋め立て終了から安定化までおおむね20年程度はかかるとされる中、管理に必要な人員や物資が搬入路を通らずに行き来することは現実的ではない。

 市は赤穂民報の取材に「(周世最終処分場に代わる処分先を)検討している」(関山部長)と答え、14日時点では新たな処分先は確保できていない様子。美化センターが焼却炉を休止したのは、新たな処分先が見つかるまで焼却灰の発生をできるだけ抑えるための苦肉の策とみられるが、収集した可燃ごみの保管容量は約800 トンで、一日平均約60トンの回収量を考えると一時保管するにも限界がある。

 関係者によると、周世最終処分場を閉鎖する判断は牟礼市長のトップダウンで行われたという。事業者の主張は事実なのか。事実だとすれば、なぜ周世最終処分場の閉鎖を判断したのか、今後の焼却灰の処分先をどのように考えているのか。赤穂民報は牟礼市長に取材を申し込んだが、「現時点で答えられることはない。また連絡する」とし、14日までに連絡はなかった。

(今月11日から焼却炉の稼働を休止している赤穂市美化センター)

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