赤穂民報

赤穂小のPTA改革 任意加入を明確化 学級委員廃止も(5月25日)

 PTAのあり方について再検討する動きが全国的にみられる中、赤穂小学校で「PTA適正化」の取組が進められている。会計収支を見直して会費を減額したほか、地区ごとに人数を割り当てていた役員を立候補制に。規約を改正して入会が任意であることを明確にした。

 市PTA連合会事務局(市教育委員会生涯学習課)は「赤小がPTAを任意加入にするということは情報共有している」としており、市内の他の学校園でもPTAのあり方をめぐる議論が活発になりそうだ。

 PTA運営をめぐる課題としては、▽本来公費で賄うべき学校園の経費をPTA会費から支出している場合がある▽学級委員決めで、委員を免除してもらうために学級の中で理由を言わなければならない▽本人の意思を確認することなく、子どもの入園や入学に合わせて自動的に入会となっているところがある―などといった問題点が挙げられている(奈良市PTA連合会『PTA運営の手引き』より)。こうした課題を解決しようと、PTA改革に取り組む動きが各地で見られるようになっている。

 そうした社会情勢の変化を受け、赤穂小では2019年度から「持続可能なPTAのあり方」をテーマに協議を開始。21年度から4年計画で段階的に適正化を実行してきた。

 初年度は支出を見直して1世帯2600円だった年会費を1200円に減額。保護者の了承なく学校からPTAに知らせていた個人情報を本人の許諾を得た上で提供するようコンプライアンスを徹底した。2年目は活動のスリム化を目指して学級委員を廃止し、3年目は部会の部員を地区割り当て制から希望制に変更。そして、今年度は本部役員も立候補制とし、全世帯にPTA加入の意思確認を書面で行った。同校によると、今年度の児童世帯284世帯中154世帯が入会。加入率は54%となった。

 昨年度の運動会では、それまでPTAの組織動員に頼ってきた片付け作業への参加を学校が保護者全員に一斉送信できる連絡用メールで直接協力を呼び掛け、従来よりも多くの参加があったという。学校関係者は「役員のように責任を負わされる立場を引き受けるのは難しいが、無理のない範囲なら子どもたちのために協力したい、という考えの保護者が多いのでは」と推測する。

 会員数減少に伴う財源不足、PTA予算で購入する卒業祝い品の検討などのほか、入学と卒業で毎年度会員が入れ替わっていく中でPTA活動の意義やメリットをどのように伝えて活動への参加と理解を得ていくかが今後の課題となりそう。また、今後、PTAの集まりの減少に伴い、保護者同士がつながる機会も減っていくことが予想されるため「孤立する保護者が出ないよう、学校でも取組を考えていきたい」(同校)としている。

 赤穂小学校PTAの今年度テーマを「ちょっとでいいから関わってみよう」と掲げた佐用大輔会長は「一人でも多くの保護者に強制ではなく自発的にPTA活動に関わってもらえるよう、『気楽に、楽しく』参加できる活動機会を増やしていきたい」と抱負。田中豊史校長は「学校教育活動は、保護者の協力が必要不可欠。本校は引き続き、子ども達の笑顔が増える活動を保護者とともに行っていきたい」と話している。

 ▼赤穂市PTA連合会事務局の談話=「赤小がPTAを任意加入にするということは、赤穂市PTA連合会として情報共有している。PTA連合会はPTAの自由な活動を尊重しており、まだまだPTAの果たす役割は大きいので、事務局としてサポートしていく」

(PTA改革の一環で任意加入を明確化した赤穂小学校PTAの入会意思確認書)

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