赤穂民報

関福大リレーコラム〜「生きづらさ」を抱える子どもたち(7月13日)

 新型コロナウイルス感染症が第5類に移行して1年余り。目に映る集団登校の光景やグラウンドから響いてくる声が当たり前になり、胸を撫でおろしている方が多いことと思います。

 私もその一人で、緊急事態宣言で全ての学校から子どもの姿が消えた日々を夢の中の出来事のように感じることもあります。が、いじめ等の問題行動や不登校の増加に拍車がかかっている現状を前に、学校教育に携わる一人として責任を痛感しているところでもあります。不登校や問題行動は、個人の「心のSOS」であると同時に、不特定多数の子どもたちが抱える「生きづらさ」を示すサインと捉えられるからです。

 いじめについては、児童生徒(小学4年〜中学3年)の約7割が、「暴力を伴わないいじめ」(仲間外れ・無視・陰口)の加害・被害の両方を体験している実態があり、仲間外れ・無視・陰口「お互いにやったりやられたりする行為」には、「誰もが被害者としても加害者としても巻き込まれやすい行為」であるという特徴が見られます(国立教育政策研究所、2021)。

 また、それらのことからいじめの被害者・加害者ともに、高いストレス状態にあるということから、ストレスマネジメント等の心理教育や支援の必要が指摘されているところです。

 不登校についても、増加が顕著な小学校の不登校において、各学年とも不登校児童の半数程度が新たに不登校となっている(前年度は不登校ではなかった)という実態が見うけられます。今は登校していても、どの児童にも、不登校になる可能性があると捉える視点の取組が必要ということでしょう。

 このような中、本学教育学部児童教育学科では、小学校教員免許取得者を対象として、「教育福祉専攻」(新設:令和7年度)を開設します。そこで、現代的な教育ニーズを的確に捉える力、子どもの「生きづらさ」「困り感」を積極的に理解して寄り添う力、全ての児童が主体的に自己発揮し成長できるよう適切に支援する力を、多様な実践・体験を通して養成したいと考えています。(教育学部児童教育学科教授・三木澄代)

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