赤穂民報

関福大リレーコラム〜子どものウェルビーイングを高めるために(7月27日)

 「ウェルビーイング」という言葉を耳にされたことがあるでしょうか? 学問領域や理論背景等によって違いもありますが、一般に、「幸せ」「良い生き方」「人生への満足」など個人が感じる「良い感情・状態」を表すものと理解されています。

 例えば、「心理的ウェルビーイング」(リフ、1989)は、自律・自己成長・他者との良好な関係、人生の目的、自己受容などの要素についての、本人の主観による肯定的評価や満足であるとしています。とすると、経済的に恵まれ社会的地位が高くてもウェルビーイングが低いことも、逆に、経済的に苦しく物質的に豊かでなく、社会的地位が低くても、ウェルビーイングが高い(高く維持できる)こともあるわけです。

 いじめ・暴力や自傷・自殺など自他を傷つける行動は、心のSOSの表れと捉えられますが、近頃教育・保育においてよく話題になる自己肯定感を例にとって子どものウェルビーイングを考えてみると、いわゆる問題行動が見られるからといって、すべての領域の自己肯定感が低いとは限らないということですね。

 そう思って実際の個々の子どもの活動をよく見てみると、自己肯定感が高い領域もあれば低い領域もある(例:「遊びでは自己肯定感が高くても、学習・片付け等では自己肯定感が低い」「体育・音楽では自己肯定感が高いが、国語・算数などの座学では自己肯定感が低い」など)ということが見えてくる気がします。

 どの領域で自己肯定感が低下しているか、どうすれば改善されるかだけでなく、自己肯定感の高い領域を見つけて維持し、更に高める工夫の大切さを、子どもたちが教えてくれているのでしょう。

 子どもの(良い感情や状態=幸福、良い生き方、人生への満足等)は、一人一人の内にある本人だけが実感できるもの。ふと忘れそうになるこのことを忘れずに、子どもの“今の自分”への肯定と、“これからの自分”への期待が膨らむような関わりをしていきたいと思っているところです。(教育学部児童教育学科教授・三木澄代)

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