赤穂民報

関福大リレーコラム〜自分(らしさ)の育ちを支えましょう!(9月7日)

 最近、就職活動の応募書類を手に、「私の長所って何でしょうか? 思いつくのは短所ばっかりで…」と、困り顔で尋ねる学生が少なくありません。彼らが、「自分の良さ」を見つけ、それを自他のために生かす力を身に付けられるように支える必要を感じます。

 そこで、及ばずながら、教員・保育の基本となる児童理解のための知識を、学生自身の「自分(らしさ)」の理解と人間関係づくりの一助にして貰えればと、心理学の学びを大切にしています。

 その一つとして、「交流分析」について紹介します。エリック・バーンが提唱し、人の心には5つの自我状態があるとするものです。5つの自我状態の特徴は、「CP」=責任感が強く厳格、理想を掲げる等、「NP」=思いやりがある、優しく世話好き、受容的等、「A」=論理的、合理的、客観的、理性的等、「FC」=本能的・感情的、創造的、天真爛漫等、「AC」(=従順、他者の顔色を見る、空気を読む等)です。

 自我状態は、性格や行動の傾向として表されますが、どの自我状態・どのパターンが良い・悪いという評価はしません。それぞれに「良い面」「悪い面」の両方があると捉えます。

 例えば、「消極的」は「控え目」、「優柔不断」は「思慮深さ」、「頑固」は「意志強固」という具合に、短所と決め込んでいる特徴を長所と捉え直す視点が生まれるでしょう。冒頭の「短所ばかり」という学生は、実は長所がいっぱいなのに気付いていないだけかもしれません。

 話は少し変わりますが、5つの自我状態は、赤ちゃん時代から周囲の人との交流によって内面に取り込まれていき、「FC」「AC」は3歳頃までに、「CP」「NP」は小学校高学年までにその基礎ができるとされます。

 躾には不可欠な「AC」ですが、他者の反応を気にして子ども本来の欲求や感情を抑えヨイ子でいることを強いるリスクを孕んでいます。子ども時代には、まず「ありのままの自分」を大切にされる体験を通して「FC」が十分に育つように関わることが、「自分(らしさ)」を肯定的に捉え主体的に生きる力の育ちに繋がっていくように思います。(教育学部児童教育学科教授・三木澄代)

   * * *

 次回からは教育学部児童教育学科の中村誠准教授が担当します。お楽しみに。

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