赤穂民報

関福大リレーコラム~「自由な時間」考(2月8日)

 こんにちは。関西福祉大学の中村誠です。

 現在、私は単身赴任で姫路に住んでおります。本来ならば大学のある赤穂市に住むべきでしたが、しばしば実家の浜松に帰る必要があり、姫路に部屋を借りました。

 姫路から播州赤穂まで電車で30分。夢前川、揖保川、千種川の鉄橋を渡って赤穂に向かう毎日の通勤は、不便かとも思われましたが、思わぬ楽しみもあるものです。

 人生初の電車通勤で私が手に入れたものは「何もしなくても良い、何をしても良い自由な時間」でした。これは40年にわたる自家用車通勤では得られなかったものです。

 ある雨上がり、秋の夕刻前、帰路の電車が坂越の駅を出ます。千種川の向こうには里山がそびえ雨上がりの薄い雲が低くたなびいています。山裾には民家が立ち並び、里の田には稲穂が頭を垂れて彼岸花がそこここの畦道に紅く燃えています。

 こんな時には、詩心の無い私にもこの風景が一編の詩のように思えたりします。そして、「自分も幼い頃、こんな風景の中で駆け回っていたなぁ」と思いながら、ふと、28歳になる息子が小学校低学年のある日のことを思い出しました。

 その日は休日で、息子が友達と電話で来週の遊ぶ約束をしていたのです。「今日は遊ばないのかい?」と聞くと「みんな習い事があって忙しいんだ」と答えました。私が幼い頃は、来週の約束などした覚えがありません。その日にその時の仲間でその時にしたい遊びをしていました。敢えて言うなら「自分が自由にしてよい時間」に溢れている毎日でした。

 今の子供たちの毎日はどうなのでしょうか。「タイパ」「コスパ」という言葉があるように、情報に溢れる現代では必要なことを効率的にこなすことが求められます。しかし、「何もしなくても良い、何をしても良い自由な時間」によって得られるものは、幼年時代にこそ多くあるようにも思われるのです。(教育学部児童教育学科准教授・中村誠) 

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