赤穂民報
キツネ(6月6日)
絵本のタイトルから、あるキツネの物語かと思っていました。しかし、実はそれはまさに「人生とは何か」を問いかける物語でした。
これは、片目の見えないイヌと飛べないカササギと、ひとりぼっちのキツネのドラマです。
キツネは仲の良いイヌとカササギをうらやましく思い、カササギと親しくなろうとします。
キツネを嫌がっていたカササギもいつしかキツネにひかれるようになりますが、キツネとカササギの暮らしはいつまでも続きませんでした。
著者は、私たちに何を呼びかけようとしていたのでしょうか。日々の暮らしのなかで「いたわりの大切さ」を述べたかったのでしょうか。いやそうではないと思います。
人生にはいろんな出会いがあり、別れがあります。これらのなかで時には自分を失いかけそうになることもあります。そのような出来ごとを一冊の絵本に表現したのではないかと思いました。
動物を主人公にした絵本にもこんな絵本があることを知り、新しい感動を覚えました。
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「キツネ」○文/マーガレット・ワイルド○絵/ロン・ブルックス○訳/寺岡襄○BL出版
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▽くぼっち先生=元中学校長の久保良道さん。平成15年7月に有年原の自宅に国内外の絵本を集めた私設図書館「くぼっち文庫」を開設。「絵本は人生を豊かにしてくれる」と自費で集めた約2000冊を無料で貸し出している。第2・第4土曜日に開館。Tel49・2089。
(「キツネ」○文/マーガレット・ワイルド○絵/ロン・ブルックス○訳/寺岡襄○BL出版)
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