赤穂民報

市議長男の役員企業が市と契約(10月2日)

 9月27日に行われた赤穂市の第3回定例会で、市議の近親者が役員を務める会社が市と請負契約を結んでいることが指摘された。籠谷義則議員が一般質問で問題提起。「赤穂市議会政治倫理条例に違反しているのは明白。市にも責任の一端がある」と追及した。豆田正明市長は「条例は議員に対して適用されるものだ」と市の責任を否定。市議会は「議員の間でも条例の解釈にさまざまな考え方があり、今回のケースが条例に抵触するかしないかは現時点では判断できない」(松原宏議長)とし、条例に使われている文言の定義付けを改めて行うことにした。
 問題が取りざたされているのは、警備・清掃、労働者派遣などを業務とする赤穂市内のI社。今年度、▽赤穂市文化とみどり財団▽図書館▽市民病院▽消防本部の4団体と清掃、警備など計9件、総額約2600万円の業務を請け負っている。会社設立は平成19年10月で、市議の長男が取締役。登記簿に記載されている本店所在地は、この市議の後援会事務所としても届けられている。
 市契約検査係によると倫理条例の適用開始を約3カ月後に控えた昨年6月、当時消防本部の清掃業務を請け負っていたS社が「経営の合理化、効率化を図るため」として入札参加資格をI社へ引き継ぐ承継申請書を市に提出。S社の社長は市議の長男で、そのことを知っていた職員が「倫理条例に抵触しないか」と尋ねたところ、「弁護士は問題ないと言っている」と答えたという。
 「赤穂市議会政治倫理条例」は「(議員が)権限または地位による影響力を不正に行使して自己または特定の者の利益を図ることのないよう必要な措置を定める」ことなどを目的に昨年4月に施行され、同年10月から適用された。議員本人だけでなく、配偶者や2親等以内の親族が経営する企業について「市が行う請負契約等を辞退し、市民に疑惑の念を生じさせないよう努めなければならない」(11条)と定めている。議員は条例遵守の「宣誓書」を提出し、該当する企業があれば「辞退届」を提出する取り決め。違反した場合の罰則規定は設けられていない。
 市議会は今後、議会運営委員会で条例解釈の一本化を図る方針。「『取締役』も『経営者』に該当するのか、『2親等以内の親族』は直系以外の姻族も含むのか」などを論点に今月から協議を始める。
 渦中の市議は同条例を可決したときの議長。本紙取材に「議員の立場を利用した口利きなどは一切していない。相談した弁護士からも問題ないと言われ、辞退届を出さなかった」と説明。「何も悪いことはしていないが、議会の混乱を招き、I社にも迷惑がかかり、大変つらい思いだ。今後の対応については議会の判断を待ちたい」と語った。
 今回の件について、50代自営男性は「年度途中に別会社に引き継ぐなど不自然。条例を逃れるためのダミー会社と言われても仕方がない」と厳しい見方。一方、別の50代男性は「適正な方法、価格で契約が決まり、仕事もちゃんとしているのなら問題ないのでは」と話した。また、「罰則のない条例は無意味」「2親等は配偶者の兄弟姉妹と祖父母も含まれ、範囲が広すぎる」と条例改正の必要性を話す人や、「いくらルールでしばろうとしても抜け道はある。市会議員に立候補できる人の幅を狭めているに過ぎない」と条例そのものの意義を疑問視する人もある。

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