赤穂民報
【社説】廃止検討自体が公約に逆行(2月19日)
赤穂市民病院は院内処方の「廃止」ではなく「継続」について検討すべきだ。
同病院は廃止の検討理由として、法的問題点を挙げている。確かに、薬剤師法には、調剤(医師の処方箋に従って必要な薬を用意し、服用説明して患者に渡す)は薬剤師または医師しかできないとの規定がある。
しかし、本紙が厚生労働省に確認したところ、「調剤の非本質的な部分(例えば、錠剤を必要な数だけ棚から取り出すことなど)については、診療補助の一環として看護師が行っても構わない」との見解。患者への薬の受渡しについては「薬剤師がいない医療機関の場合は診療時に医師から服薬指導が行われているはずだから、看護師や事務員から渡しても問題ない。ただし、薬の種類や分量に誤りがないか医師の監査は必要」との回答だった。
▽昔と違って薬の種類も多く、看護師の負担が大きい▽現在の看護師が退職した場合、新人には荷が重い―といった課題があるのは事実かもしれないが、診療所勤務に意義を感じる看護師が皆無とは思えない。
病院は「院外処方に移行することによって調剤ミスのリスクをなくし、患者様の安全を図る」ともっともらしく話しているが、この論法は「学校がなければ、いじめも起こらない」というのに似た、本末転倒な考え方だ。そもそも、現状のままでも希望者に院外処方箋を発行することは可能なのだから、患者に好きな方を選んでもらえば済む。
平成20年度から5カ年計画で進められている「赤穂市民病院改革プラン」には「果たすべき役割」の中に「市街地から離れ、医療の確保が困難な地域において、住民に医療サービスを提供するために、診療所を運営しています」とうたわれている。設置者である豆田市長は今期公約の第一に「安全・安心なまちづくり」を掲げて当選した。「院内処方廃止」を検討すること自体が改革や公約に逆行している。
何が患者のためになるのか。「ベスト」が無理なら「ベター」を探す。“患者目線”を持たなければ、知恵も工夫も出るはずがない。
それにしても、病院担当者の「院外処方になったとしても困る人はいない」との発言には驚いた。徒歩で診療所に通うお年寄りの姿や声がわからないのなら、一度その目と耳を診察してもらったらよいだろう。
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