赤穂民報

松岡與之助の功績たどる特別展(6月2日)

 大正から昭和にかけて、生まれ育った有年の地で地域医療と文化振興に尽くした松岡與之助(まつおか・よのすけ、1888−1932)を顕彰する特別企画展が有年楢原の赤穂市立有年考古館(宮崎素一館長)で開催中。医療器具、家族と交わした郵便など約500点を展示している。入館無料。
 明治21年に赤穂郡楢原村(現赤穂市有年楢原)で出生した與之助は龍野中から京都帝大へ進み、医学博士の学位を取得した。大正14年に郷里で眼科医を開業し、当時流行したトラコーマの治療に尽力。病院での診察にとどまらず、予防のための生活衛生環境の向上にも力を注いだ。
 その一方で人材育成への関心も高く、院内の講堂に地元の若者たちを集めて弁論大会を開催。自ら編集発行した地域誌「郷土研究」を村内全戸に配布し、歴史、自然科学、医学など多岐にわたって地域文化を啓発した。昭和7年に45歳の若さで亡くなったが、郷土を愛した思想と哲学は後に有年考古館を創設した弟・秀夫(1904−85)に受け継がれた。
 特別企画展は今年が没後80年に当たることから同館が企画した。「松岡眼科病院と有年文化活動を振り返る」と題し、尋常小学校の通信簿、学生時代に書いた英文の医学論文、「郷土研究」の実物誌面と手書き原稿など、孫の徹さんから借りた多数の遺品で足跡をたどる。
 考古館の近くに今も建つ與之助の立像は戦時供出で備前焼製に差し替わったが、元は当時の患者らが50銭ずつ出し合って建立した銅像だった。同館研究員の山本智子さん(47)は「ふるさとを心から愛し、地域文化の礎を築いた人物。展示を通してその足跡をたどってもらえれば」と話している。
 7月9日(月)まで午前10時〜午後4時(入館は3時半まで)。火曜休館。TEL49・3488。

(有年地区の医療と文化に尽くした松岡與之助の功績をたどる特別企画展)

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