赤穂民報
【社説】赤穂緞通の将来展望 再構築を(8月25日)
「赤穂緞通を伝承する会」が使用する商標が特許庁に登録された。「商標に恥じないように、より一層品質向上に努めたい」と話す会員のみなさんを応援したい。
伝統的工芸品を取り巻く環境は厳しい。統計によると、全体の生産額は昭和58年の5406億円をピークに平成21年には4分の1以下の1281億円に減少。昭和54年に28万人を超えていた従事者数は8万人を切っている。
平成3年に講習会を開き、その8年後に「伝承する会」が誕生した赤穂緞通は、こうした逆風の中、伝統の灯火を消さずに守り継いできた。しかし、講習会から20年以上が経った今、新たな後継者育成は急務となっている。
人材を呼び込むためには地場産業として採算のとれる体制が不可欠だ。生産者利益を確保できる販路開拓、製品の信用度と価値を高めるための品質管理とプロデュースなど取り組むべき課題は多い。
沖縄県では多種多様な郷土の伝統的織物を「首里織」と総称し、県条例に基づく検査規格を定めている。組合への加入を問わず、検査を受けることができ、基準を満たせば合格証が添付される。検査員は県知事の委嘱を受けたベテランの織子が務め、県の嘱託職員として報酬も支払われる。
江戸末期から明治初期に一人の女性の努力によって生まれ、約1世紀半の歴史を持つ赤穂緞通。誇るべき文化遺産を再び“幻”としないために、関係者が一致団結して将来ビジョンを再構築する必要がある。商標登録をその好機ととらえたい。
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