赤穂民報
いつか きっと(1月1日)
子供のころ、小春日和の千種川の堤防に寝っ転がり、何も考えずにぼーっと雲の流れをながめていたことがありました。
この絵本の少年のように「いつか きっと」何かをしようとは思ってもみませんでした。「小さな島に 子どもがひとり すわっていた。子どもは世界をながめ、考えた。」ではじまるこの絵本は、どのページをめくっても心にぐさりとささるものがあります。
なかでもショックを受けたのは次の文です。
「飢えに苦しむ人がいる。
それを見て子どもは思った。
いつか、きっと、投げなわで雲をあつめ、砂漠に雨をふらせよう。
とうとうと流れる川をひこう。」
今、子どもたちは世界をながめることがあるのでしょうか。そして、何かを思うことがあるのでしょうか。
その日その日の楽しさばかりを求めて、何かを考えることがなくなりつつある…。そんな思いがしてなりません。
一人でも多くの子どもたちが世界に目を向けてほしい。絵本がそのきっかけになれば…。そう願っています。
* * *
『いつか、きっと』○文/ティエリ・ルナン○絵/オリヴィエ・タレック○訳/平岡敦○光村教育図書
(『いつか、きっと』○文/ティエリ・ルナン ○絵/オリヴィエ・タレック ○訳/平岡敦 ○光村教育図書)
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