赤穂民報

活字を“声”で届けて30周年(2月2日)

 視覚に障害がある人のために朗読サービスを行っているボランティア団体「来夢」(有田秀子代表、18人)が設立30周年を迎えた。2月8日(金)に中広の赤穂市総合福祉会館で開かれる市ボランティア協会の研修教育部会で朗読会を行う。
 同グループは朗読講座の修了者有志で昭和57年に結成した。赤穂民報や市広報などの定期刊行物を中心にカセットテープに吹き込み、ダビングして希望者に無料提供。現在25人が利用している。90分テープ22巻に及ぶ『水戸光圀』など、小説やエッセイを収録した音声図書も約130タイトルある。
 活動日は原則週1回。会員を4つの班に分け、その週の当番班が同会館3階の録音室に集まる。朗読、機器操作、校正の役割を交代しながら録音。地名、難読漢字は辞書などで読み方を確認し、「コウサイヒ(公債費・交際費)」といった同音異義語には誤解のないように「公の債務」と注釈を付ける。最も苦労するのは人名で、どうしても読み方がわからないときは発行元へ電話して確かめることもある。
 直面する課題の一つがデジタル化の波。修理を重ねて使っているカセットデッキは今度壊れたら部品が手に入らない可能性が高い。そのため数年前から、赤穂ライオンズクラブから寄贈されたノートパソコンを活用し、これまでに小説など十数本のCD図書を制作。今春からは定期刊行物の一部にもデジタル録音の導入を予定している。パソコン操作は「メンバーの誰もが苦手」な分野だが、活動を存続するために少しずつ習得に励んでいる。
 「リスナーから『ありがとう』と言われたときが一番やりがいを感じます」と有田代表。一字一句を逃さずに読む朗読のおかげで、「私たちにとっても知識や視野が広がるメリットがある」といい、「これからも聴き取りやすい朗読を心がけ、活動を続けていきたい。パソコンが得意な方のお手伝いも大歓迎」と話している。
 朗読会を行う研修教育部会は3階研修室で午後1時から。芥川龍之介『蜘蛛の糸』、平岩弓枝『花影の花』など5作品を読む。問合せは市ボランティアセンターTEL42・1397。

(創立30周年を迎えた朗読ボランティアグループ「来夢」)

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