赤穂民報

鳥井の坂に伝統の音頭響く(1月13日)

 坂越・鳥井町で約250年の歴史があるとされる小正月行事「曳きとんど」が13日夕、29年ぶりに行われた。高さ約5メートルのとんどを乗せた木製台車をお囃子と音頭に合わせて綱で引っ張り、格子窓や白漆喰壁の家屋が並ぶ鳥井の坂に三味線や太鼓の音色が響いた。
 カスタネット隊の小学生から80代の高齢者まで約90人が台車を先導する形で隊列を組み、小雨の中を午後4時半ごろに木戸門前を出発。間もなく雨が止んで録音テープを再生していた三味線が生演奏になると、「ハリショーエー」の掛け声で始まる音頭も一層活気づいた。大勢の見物人やカメラマンを引き連れ、旧坂越浦会所前の県民交流広場まで約700メートルを1時間ほどかけて練り歩いた。
 終盤は「シャンリンシャンリン」と呼ばれる三味線の演奏に切り替わり、広場に到着した台車からとんどを降ろして点火。勢いよく燃え上がる炎に合わせ、囃子のテンポがどんどん上がり、参加者や見物人たちが燃え盛るとんどを輪になって見守った。
 前回に曳きとんどが行われた昭和60年に亡父・大三さんが自治会長として行事を取り仕切った渡海泰子さん(64)は太鼓方で参加。「とっても喜んでくれているはず」とばちを握る手に力が入った。鉦を受け持った中学1年の澤田敦君(13)は「リズムを取るのが難しかったけど、練習したので間違えずに音を鳴らせた。伝統のある行事に参加できたのがうれしい」と話した。
 見物するために友人6人で帰省した坂越出身の貿易商社経営、楠游浩さん(78)は「若いころに聴いた音頭の記憶がよみがえりました。懐かしく、一生の思い出になりました」。実行委員会長の永石正勝・鳥井町自治会長は「みんなの願いが通じて雨も上がり、無事に開催できて本当によかった。おかげで坂越の伝統をつなぐことができました」と感慨深そうに話した。

(29年ぶりに開催された坂越・鳥井町「曳きとんど」)

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