赤穂民報

近世塩業史研究で博士号(2月1日)

 およそ30年間にわたって続けている近世塩業史研究に多大な功績があったとして、細野町の元高校教諭、西畑俊昭さん(64)に母校の広島大学から博士(文学)学位がこのほど授与された。赤穂市内の研究者で塩業研究の分野で博士号を取得したのは過去に廣山堯道氏(1925−2006)、富岡儀八氏(1924−91)しかなく3人目。西畑さんは「先生方や先輩、仲間に恵まれて研究に打ち込めたおかげ」と感謝の気持ちを語っている。
 昭和49年に同大文学部史学科を卒業して兵庫県の教員採用試験に合格した西畑さんは太子高校、赤穂高校などで社会科を教えるかたわら、『赤穂市史』の執筆に携わった。昭和54年に「日本塩業研究会」の一員となり、第一人者だった渡辺文則氏や河手龍海氏、廣山氏らに師事。近世入浜塩業を5つの時代に区分する手法を考案し、塩業研究の体系化に大きく寄与した。
 昨年2月には、これまでの研究成果をまとめた『近世入浜塩業の研究』(清文堂出版、A5判619ページ)を上梓した。17章からなる著作は生産、流通、経営など多角的方面から塩業を捉え、うち7章は新稿。西畑さんにとって集大成とも言える一冊で、主指導教員の中山富広教授(日本近世史)は「膨大な古文書を丹念に調べ上げた功績は極めて大きい」と価値を評価する。
 「一つの疑問を解決すると、また新たな課題が見つかり、研究の面白さにはまった」と振り返る西畑さん。残されたテーマとして「近世と近代をつなぐ天保期の考察」を挙げ、「続編として世に問いたい」と考えている。

(西畑俊昭さんに授与された学位記と著書『近世入浜塩業の研究』)

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