赤穂民報
おじいさんの夢(2月8日)
むかしむかし、ひとりのまずしいおじいさんが暮らしていました。
雨がはげしく降る夜、ドアの外でねこの鳴き声を聞きました。ドアをあけると、ずぶぬれのやせ細った黒いねこがいました。おじいさんは、その黒いねこを家のなかに入れてやりました。
ねこは、おじいさんにミルクやパン、ひつじの肉、そしてスープをつくろうと思っていた骨までほしがりました。
おじいさんは何度もためらいましたが自分のことを忘れてすべてを黒いねこに与えてしまいました。
だんろにまきをくべ、ねこと楽しいひとときをすごしました。
そして毛布にくるまってねことねむりました。
つぎの日の朝、風も雨もやみ、陽が照っていました。ねこは戸口に走っていき、外へ出たがっていました。おじさんがドアをあけると、ねこはいきおいよく林のなかに消えていきました。
ふと気づくと、ねこの足あとはどこにもありません。そして不思議なことに、なくなったはずのミルクもパンも肉もまきも、ねこがやってくるまでよりたくさんあります。おじいさんは昨夜の夜、黒いねことすごした時間をまるで夢のように感じています。
私は、最近わけのわからない夢をよくみます。いつかこんなすばらしい出会いをしてみたいものです。
心がすごくいやされるお話でした。
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『黒ねこのおきゃくさま』○作/ルース・エインズワース○訳/荒このみ○絵/山内ふじ江○福音館書店
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(『黒ねこのおきゃくさま』 ○作/ルース・エインズワース ○訳/荒このみ ○絵/山内ふじ江 ○福音館書店)
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