赤穂民報
市内最古の仏画など市文化財指定(4月9日)
赤穂市教育委員会は、同市内の個人が所蔵する鎌倉時代末〜南北朝期の「仏涅槃図(ぶつねはんず)」と安土桃山〜江戸前期の「当麻曼荼羅図(たいままんだらず)」を市有形文化財にこのほど指定した。仏涅槃図は「市内でこれまでに確認された仏画の中では最古」(市教委)といい、寄託を受ける方向で所蔵者との話し合いを進めている。
「仏涅槃図」は約40センチ幅の4枚と2〜3センチ幅の2枚をつないだ絵絹に描かれ、丈168センチ、幅173センチ。宝台に体を横たえた釈迦の周囲で弟子や動物たちが嘆き悲しむ姿を描いている。絵絹が正方形に近いことや構図の特徴から、制作年代は14世紀前半とみられる。
「当麻曼荼羅図」(丈128センチ、幅116センチ)は奈良・当麻寺に伝わる「根本曼荼羅(こんぽんまんだら)」を縮尺して描き写した転写本。阿弥陀如来、普賢菩薩、観音菩薩の三尊を中心に極楽浄土を表現している。素朴さがある人物の描き方などから、「16世紀後半から17世紀前半の絵仏師系の制作」(同)とみている。
市教委文化財係によると、2点とも昭和29年ごろ、軸装の状態で古美術商から所蔵者が購入したもので「作者や由来は不詳」。鑑定に当たった市文化財保護審議会の木村重圭委員=元甲南女子大教授、美術工芸=は「仏涅槃図はヒョウをトラの雌として描いたものとしては最も早い作例ではないか。当麻曼荼羅図は描写が繊細で彩色も非常によく残っている。いずれも市指定文化財に充分に値する」としている。
今回の指定で、市指定文化財は計52件、うち絵画は4件となった。
(市有形文化財に指定された「仏涅槃図」(14世紀前半)。赤穂市内の仏画で最古とみられる=市教委提供)
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