赤穂民報

支援の感謝忘れず 10回目の一日美術館(9月20日)

 平成16年水害のメモリアルイベントを自宅で毎年欠かさず開いてきた東有年の寺内一成さん(63)・まみさん(63)夫妻が今年も「秋分の日」の9月23日(火・祝)にホームコンサートを催す。今回で10回目。
 ピアノとバイオリンの演奏会に自作絵本の読み語り、写真展で来場者をもてなすプログラムで、2人は「彼岸花やコスモスの咲く有年で、秋のひとときを過ごして」と呼び掛けている。
 かつて千種川を行き来した高瀬舟が発着した「大波止」跡近くにある寺内さん宅は10年前の台風水害で床上浸水。一成さんのセドリックは廃車となり、まみさんが大切に残していた小学教諭時代の資料も台無しになった。地区全体が大きなダメージを受けた中、市内南部や市外から友人や知人が救援に駆け付けた。
 寺内さん夫妻は一年後、お世話になった人たちを招き、「有年の里一日美術館」を開催。長女夫婦のガラス作品や絵画などを展示し、約30人が訪れた。翌年以降も「水害の教訓と支援への感謝を忘れないために」と続け、3年目からは太子町のピアニスト市場誠一さんを迎えてのコンサートも加わって年々来場者数が増加。昨年は廊下と庭に並べた椅子でも足りず、立ち見が出るほどの盛況だった。
 毎回設定する開催テーマは、今年は「大きな木」。東有年自治会館横にそびえる大クスノキをはじめ、まみさんが撮影した大木の写真約50点を自宅の和室や廊下に展示する。恒例の絵本の読み語りは、まみさんが自作した写真絵本『大きな木をめざして』。寺内さん方で毎年巣作りするツバメを通して大クスノキに象徴される有年の素敵な自然を描いたストーリー。市場さんの書き下ろし曲をバックにまみさん自身が朗読する。
 「水害で物は失いましたが、人と人とのつながりのありがたさに気付きました」と語るまみさん。「絆を深め合える一日になれば」と話している。
 午前9時半〜午後4時。応接間で午後1時から絵本の読み語りとホームコンサートを行う。席数に限りあり。TEL49・3320(寺内さん)。

(10回目を迎える「有年の里一日美術館」へ向けて手作り絵本を制作した寺内まみさん)

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