赤穂民報

高野の産廃処分場計画、前市民部長が「問題なし」(11月5日)

 千種川水系の中ノ谷川沿いで進む産廃の安定型最終処分場設置計画をめぐり、地域に及ぼす影響や地域計画との整合性について兵庫県西播磨県民局長が赤穂市に尋ねた4年前の意見照会に、当時の市民部長が「特に問題ない」と市長名で回答していたことが5日、わかった。
 市は「事務執行規則に基づいた処置で適正」としているが、市民からは「市民の命や健康に関わる案件であり、最高責任者である市長が取り扱うべき」と批判的な意見が出ている。
 市が5日の民生生活委員会協議会で明らかにした経緯によると、本計画の存在を所管の環境課が知ったのは平成22年5月。事業者の「ツボタクリーン」(坪田万導社長)から事前協議書を受理した県が予定地の所在自治体である赤穂市へ意見照会を求めた。県からの意見照会は全部で3回あり、2回目の6月には「事業計画の周知を図るべき住民の範囲」を「上高野自治会」と回答。最後の11月には最終処分場が地域に及ぼす影響や地域計画との整合性について「特に問題ないものと考える」などと答えている。
 これらの回答は、いずれも市長名で県へ提出されたが、実際に決裁したのは市民部長(当時)だった。職務権限について取り決めている赤穂市事務執行規則が「工場等の設置、変更に係る事前協議」に関する権限を市民部長に付与しているためで、市長と副市長へは「事後報告もしていなかったようだ」(児嶋佳文・現市民部長)という。環境施策の重要事項について審議する市環境審議会へも報告されていない状態だ。
 児嶋部長によれば、前任者(平成23年3月に退職)は議会へ報告していなかった理由について、「今回の計画を進めている産廃業者の代表者の親族が、過去に予定地の近くで安定型最終処分場を運営していた実績があるから」という旨の説明をしたという。しかし、2つの業者は別法人。代表者同士が親族との理由で報告しないというのは筋が通らない。
 協議会を傍聴した市民からは「所管部署は職責を果たしていない」「環境行政を所管する部署がこのような体たらくでは、われわれの命と健康は守られない」などと厳しく批判する声が聞かれた。
 児嶋部長は赤穂民報の取材に対し、「産廃問題に対する市民のみなさんの関心や心配は理解している。今後は部長決裁ではなく、市長まで報告して判断を仰ぎたい。環境審議会には次回開催時に今回の計画について報告する」と話している。
 また、所管部署が遅くとも4年前の時点で計画を把握していたにもかかわらず、先月28日まで議会へ報告していなかったことについて市議の多くは「議会軽視もはなはだしい」と問題視しており、今月開会する定例会の会期中に全員協議会を開いて当局に説明を求める方針。平成24年4月に着任した児嶋部長は「私自身、前任者から資料の引き継ぎを受けておらず、先月22日に所管課から報告を受けて初めて知った」と話しており、環境行政のほころびを露呈している。

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