赤穂民報

かあさんのこもりうた(12月13日)

 タイトルに懐かしさを覚えます。
 東北の大震災は多くの悲劇を生み出しました。これらの出来事に触れるたびに、なんとも言えない怒りと悲しみがわいてきます。
 震災でお母さんを亡くした望美(のぞみ)ちゃんは、お母さんが投函した日から2年後に届いた一通の手紙を受け取りました。この時の望美ちゃんのショックは言葉では表現できません。
 今回、望美ちゃんの暮らしぶりが一冊の絵本になりました。末っ子の望美ちゃんがどんな女の子であったかよくわかります。それだけに、掛ける言葉が見つからないのです。
 私は、父を戦争で失いました。戦地から送られてきた父からのはがきを何度も何度も読み返しました。
 若いころは戦死した父を憎んだこともありました。父の気持ちなど、まるでわかっていませんでした。私が父の苦しみを理解できるようになったのは、自分が父親になってからです。
 この絵本がより多くの人の手に渡り、震災だけでなく、親、きょうだい、家族を失った人たちの気持ちに寄り添うことができたら…と願うばかりです。
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 『かあさんのこもりうた』○作/こんのひとみ○絵/いもとようこ○金の星社
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 ▽くぼっち先生=元中学校長の久保良道さん。国内外の絵本を集めた私設図書館「くぼっち文庫」で3000冊を超える蔵書を無料貸し出し。第2・第4土曜日に開館。有年原434。Tel49・2089。

(『かあさんのこもりうた』 ○作/こんのひとみ ○絵/いもとようこ ○金の星社)

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