赤穂民報
関福大・加藤明先生の「応援します!かしこい子育て・教育・介護」【第6回】(4月4日)
【心配事は風呂敷に包んで】
新年度のスタートです。新しく教員になった先生へ向けてプロ教師としての心構えを話すように頼まれた際、「風呂敷包み」の話をすることにしています。
教員も生身の人間ですから、仕事上のことだけでなく、プライベートでも心配事や悩みがあって当然です。人生は問題解決の連続、しかも一回限りの新しい問題の連続です。でも、それを抱え、引きずったまま、子どもの前に立つのは、プロとしての教師としては失格です。
それでは、どうすればいいのか。そこで、とっておきの方法が「風呂敷で包む」ことなのです。教室に入る前に、心配事や悩みを風呂敷に包んで教室の前に置いて入ること。そして子どもの前に立ったら、教えることだけに専念するのです。
一生懸命教えると何が起こるか。教室を出るときに、置いておいた風呂敷包みを持って帰るのを忘れます。忘れないまでも、帰りに持った風呂敷包みは、軽くなっているのです。教職に限らず、仕事というものはこういうもの。これが仕事の醍醐味と言えるかも知れません。
子どもと向かい合うときは、いつも元気で明るく、やさしい先生がいいに決まっています。お母さんもそうです。今朝のお母さん、何か心配事でもあるのかな、なんて子どもが心配しながら学校に行くようでは、子育て失格です。元気に送り出してから、風呂敷包みを開ければいいのです。
子どもの屈託のない元気な顔を思い浮かべたら、悩みや心配事は吹き飛ぶか、軽くなりますよ。誰かのために元気を出す。元気は出るものではなく、出すものです。そのうちに、内から出てきます。元気であれば、何でもできますから。(関西福祉大学・学長)
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