心停止から救命 ドクターランナーらを表彰
2018年11月03日
昨年11月の赤穂シティマラソンで心停止状態になった参加者を救命したとして、ドクターランナー5人と看護師1人が大会実行委員会から特別表彰されることになった。
11月11日(日)の「第8回赤穂シティマラソン」開会式で感謝状を贈り功績を称える。
関係者によると、前回大会でハーフマラソンを完走した男性がレース後に市民総合体育館の玄関付近で体調不良を訴えた。ランナーとともにレースコースを走りながら不測の事態にいち早く対応するドクターランナーとして大会に参加していた医師の小畑利之さん(53)=赤穂市民病院内科部長=が駆け付けた目の前で息が途絶え、意識を失った。
小畑さんはすぐさま心肺蘇生を開始した。そこへ同じくドクターランナーの津田健人さん(31)、辻麻亜子さん(27)、平川結梨さん(26)、吉村昂平さん(26)の4人=いずれも同病院初期研修医=が急行。救急部看護師の中田美奈さんもサポートし、組織的な蘇生活動と2度のAEDによる除細動で男性の心拍は奇跡的に再開。男性は救急搬送先の市民病院で治療を受け、約1週間後に退院した。
本紙が取材を進めたところ、救命された男性は赤穂観光大使の落語家、三遊亭楽松さん(54)=東京都葛飾区=だったことがわかった。フルマラソンを何度も完走しているベテランランナーの楽松さんは大の忠臣蔵ファンでもあり、平成19年からは赤穂義士祭に合わせて東京から赤穂まで走る「忠臣蔵ラン」を10年連続で完走。同21年に観光大使に任命され、赤穂シティマラソンはプレ大会から毎回参加してきた。
楽松さんは退院した8日後には高座に復帰できた。その後の診察で狭心症だったことが判明し、投薬と定期的な経過観察は続ける必要があるものの、ゴールデンウイークには東京から新潟まで514キロの日本横断ウオークを6日間で完歩したほど元気。今年の赤穂シティマラソンには「応援団」として顔を見せるという。
アメリカの統計では、マラソン大会参加者の心停止は約5万7000人に1人の割合で発生するとされ、そのうち約3割はそのまま死に至るとのデータがある。予兆を感じずに発症するケースもあり、どれだけ速やかに適切な処置を受けられるかどうかが命の分かれ目となる。
「今日、命があるのは赤穂の皆さんのおかげです。『感謝』という言葉では言い表せません」と楽松さん。入院時に主治医を務めた津田さんは「一命を取り留めることができて良かった」と振り返る。
同大会のドクターランナーは第2回大会に小畑さんら赤穂市民病院陸上部のメンバー5人が参加したのを皮切りに赤穂中央病院や市内開業医にも協力の輪が拡大。今年はナースランナーを含む過去最多の30人体制で大会の安全を守る。
表彰を受ける5人も多忙な職務の合間をぬって陸上部の合同練習や自主トレで走力を鍛え、今大会もドクターランナーとして参加する予定。「今年も気持ちを引き締めて臨みたい」(小畑さん)と意気込んでいる。
掲載紙面(PDF):
2018年11月3日(2299号) 1面 (10,127,746byte)
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11月11日(日)の「第8回赤穂シティマラソン」開会式で感謝状を贈り功績を称える。
関係者によると、前回大会でハーフマラソンを完走した男性がレース後に市民総合体育館の玄関付近で体調不良を訴えた。ランナーとともにレースコースを走りながら不測の事態にいち早く対応するドクターランナーとして大会に参加していた医師の小畑利之さん(53)=赤穂市民病院内科部長=が駆け付けた目の前で息が途絶え、意識を失った。
小畑さんはすぐさま心肺蘇生を開始した。そこへ同じくドクターランナーの津田健人さん(31)、辻麻亜子さん(27)、平川結梨さん(26)、吉村昂平さん(26)の4人=いずれも同病院初期研修医=が急行。救急部看護師の中田美奈さんもサポートし、組織的な蘇生活動と2度のAEDによる除細動で男性の心拍は奇跡的に再開。男性は救急搬送先の市民病院で治療を受け、約1週間後に退院した。
本紙が取材を進めたところ、救命された男性は赤穂観光大使の落語家、三遊亭楽松さん(54)=東京都葛飾区=だったことがわかった。フルマラソンを何度も完走しているベテランランナーの楽松さんは大の忠臣蔵ファンでもあり、平成19年からは赤穂義士祭に合わせて東京から赤穂まで走る「忠臣蔵ラン」を10年連続で完走。同21年に観光大使に任命され、赤穂シティマラソンはプレ大会から毎回参加してきた。
楽松さんは退院した8日後には高座に復帰できた。その後の診察で狭心症だったことが判明し、投薬と定期的な経過観察は続ける必要があるものの、ゴールデンウイークには東京から新潟まで514キロの日本横断ウオークを6日間で完歩したほど元気。今年の赤穂シティマラソンには「応援団」として顔を見せるという。
アメリカの統計では、マラソン大会参加者の心停止は約5万7000人に1人の割合で発生するとされ、そのうち約3割はそのまま死に至るとのデータがある。予兆を感じずに発症するケースもあり、どれだけ速やかに適切な処置を受けられるかどうかが命の分かれ目となる。
「今日、命があるのは赤穂の皆さんのおかげです。『感謝』という言葉では言い表せません」と楽松さん。入院時に主治医を務めた津田さんは「一命を取り留めることができて良かった」と振り返る。
同大会のドクターランナーは第2回大会に小畑さんら赤穂市民病院陸上部のメンバー5人が参加したのを皮切りに赤穂中央病院や市内開業医にも協力の輪が拡大。今年はナースランナーを含む過去最多の30人体制で大会の安全を守る。
表彰を受ける5人も多忙な職務の合間をぬって陸上部の合同練習や自主トレで走力を鍛え、今大会もドクターランナーとして参加する予定。「今年も気持ちを引き締めて臨みたい」(小畑さん)と意気込んでいる。
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投稿:グッド・ドクター 2018年11月05日コメントを書く