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《市長選2019》立候補予定者に聴く政治理念

 2019年01月01日 
赤穂市長選への立候補を表明している=左から=明石元秀氏と牟礼正稔氏
 任期満了に伴う赤穂市長選(1月13日告示、20日投開票)は告示まで半月を切った。
 先月20日の立候補届出書類予備審査には、いずれも無所属で現職の明石元秀氏(68)=加里屋=と、新人の元兵庫県職員、牟礼正稔氏(64)=坂越=が審査を受けた。この2陣営以外に出馬の動きは見られず、このまま一騎打ちの選挙戦となる公算が大きい。
 両陣営とも後援会が政策ちらしを配布するなどして支持拡大を進めるが、新人3候補が激戦を展開した4年前に比べて選挙ムードは今のところ低調。有権者からは「候補者の施策や理念の違いが見えづらい」との声が上がっている。
 赤穂市選挙管理委員会は市長選への関心を高めようと、市内スーパー3カ所で街頭キャンペーンをこのほど実施。多田憲子・選管委員長は「来る選挙戦では候補者同士が正々堂々と政策論争を繰り広げることで有権者の関心を呼び起こし、投票率向上につなげてほしい」と期待を述べた。
 12月28日時点で出馬を表明している立候補予定者2人の経歴、政治理念は次のとおり。
《経歴》
 ▽明石元秀(あかし・もとひで)氏=無所属現職。1950(昭和25)年10月17日生まれ。68歳。加里屋。桃山学院大学経済学部卒。1973年赤穂市入庁、2002年市企画部長、2004年市教育次長、2005年安全管理監、2007年市副市長、2015年市長初当選。好きな言葉は「謙虚」。趣味・特技は野菜づくり。後援会事務所は加里屋中洲4丁目42、TEL0791(45)7780。
 ▽牟礼正稔(むれい・まさとし)氏=無所属新人。1954(昭和29)年7月20日生まれ。64歳。坂越。大阪大学法学部卒。1978年兵庫県入庁、1999年復興本部住まい復興推進課被災者対策室、2007年県土整備部県土企画局総務課建設業室長、2009年県立大学播磨光都キャンパス事務部長、2012年播但連絡道路管理事務所長、2016年兵庫県空調衛生工業協会 専務理事。好きな言葉は「努力」。趣味・特技はコーラス、尺八、ジョギング。後援会事務所は加里屋49ー1、TEL0791(46)2455。

《政治理念》

問1)立候補動機と現市政の採点=お二人とも前回市長選に続いての立候補です。出馬を決意した動機、理由をお答えください。また、現市政を百点満点で採点すると何点でしょうか。
【明石氏の回答】
 自分には現職としての責任があり、市民のみなさんの声を励みにやりがいも感じている。市政の現場を含めて知っている自分が市政課題を一つひとつ解決し、未来への道筋をつけるまでは引き下がることはできないと決意した。(自己採点は)70点。やることはやったが、まだまだやるべきことがあると思っている。
【牟礼氏の回答】
 前回市長選の後も赤穂市内を自分の足で歩き、多くの市民のみなさんから「赤穂市を変えてほしい」という声を聴かせていただき、立候補を決意した。赤穂市は政策転換を図るべき時期にきている。前回とは比べものにならないくらいの手応えがある。もっと自分の政治理念やビジョンを訴えて支援を広げていきたい。現市政の採点は55点。及第点はあげられない。

問2)人口減少対策に何が必要か?
 赤穂市の人口について、国立社会保障・人口問題研究所は「2040年に3万8050人、2060年に2万8624人」と推計しています。赤穂市は、どこまで先の目標を見据えて施策を立てていくべきでしょうか。「○年時点の市人口○人」という形で目標を示した上で、今必要な施策をお答えください。

【明石氏の回答】
 いつの時点で何人という目標設定は難しいが、2015年に策定した赤穂市人口ビジョンでは、2060年に3万5000人の将来人口を展望しており、若い世代の就労・結婚・子育て応援、様々な産業の発展、まちの魅力発信の3つの視点から、合計特殊出生率の上昇、定住人口の増加に向け、地道に粘り強く取り組む必要がある。
【牟礼氏の回答】
 この4年間で赤穂市の人口は約2000人減少した。産業誘致と子育て支援で、これ以上の減少に歯止めをかけ、2040年で4万人台をキープすることを目標としたい。具体的には例えば、赤穂インターチェンジ周辺を大規模農場や物流拠点などに整備したり、学校給食費の無償化などの施策が可能だ。

問3)赤穂市が取るべき防災対策は?
 兵庫県の「南海トラフ巨大地震被害想定」では、赤穂市で最悪の場合、「死者484人、建物全壊405棟」の被害が出ると想定されています。国や県も対策を講じているところですが、市が独自に取り組むべき対策はありますか。
【明石氏の回答】
 ハード面の対応に加え、ソフト面の充実に力を入れていきたい。情報伝達・シェイクアウト訓練など、体験を通じたきめ細かな意識啓発のほか、市民によりわかりやすい避難情報の発信や地域の災害リスクを認識してもらう取り組みが必要である。また、災害時要援護者の把握や避難支援、共助を高めるための地域コミュニティの絆づくり(獅子舞をはじめ、地域の伝統文化継承の後押し等)も重要だ。
【牟礼氏の回答】
 まずは避難場所の見直し。海抜の低い場所にある避難所は津波や洪水には適さない場合がある。例えば、千鳥地区の高層県営住宅の空室を住民の交流サロンに転用することで災害時には避難所としても活用できるようにできる。また、水道や土木関係の業界団体と災害応援協定を締結することによって、より迅速な復旧が可能になる。

問4)医療の充実について
 赤穂市民病院は二期構想に基づく新館増築及び本館改修が2018年3月に完了しました。一方、医師不足により産婦人科の分娩受け入れ休止が続くなど、医師の確保は重要な課題となっています。地域医療の充実のために、どういった施策が必要だと考えますか。
【明石氏の回答】
 市民病院は地域医療支援病院であり、市民の安心を守る最後の砦だ。第二期基本構想の整備が終了し、今後、安定的経営に向けた取り組みが求められる。懸命に医師確保に努めた結果、今年4月には整形外科に新たに3名の医師派遣が内定した。医師確保は一刻の猶予も許されない状況であり、自ら幅広く大学医局を訪問するほか、寄付講座の開設や考え得るあらゆる手段を駆使する熱意と覚悟が必要だ。
【牟礼氏の回答】
 赤穂市民病院に地域医療の中核的、専門的な役割が求められている中、医師確保が市長の最大の役割だ。単にお願いするだけでは不十分で、医師とそのご家族から選んでもらえるように教育水準や文化・芸術レベルの向上を図り、今よりも魅力ある赤穂市をつくっていくことが必要だ。

問5)産廃処分場問題へ市長のとるべき対応は?
 西部地区と有年地区でそれぞれ産業廃棄物最終処分場建設計画があり、2018年8月には2万7701筆の計画反対署名が県へ提出されました。赤穂市議会は「産業廃棄物最終処分場建設に反対する都市宣言」を議決しています。赤穂市長はこの問題にどのように対応すべきでしょうか。
【明石氏の回答】
 赤穂市の環境と市民生活の利益を害する計画には反対だ。産業廃棄物最終処分場建設反対赤穂市民の会等と、引き続き情報共有等連携を図っていきたい。計画に対しては、科学的、技術的な見地から対応していく必要がある。今後、法令に基づく手続きの中で、きっちりと対応したい。赤穂の恵まれた自然を将来へ引き継いで行くことが基本だ。子どもの意識啓発のための環境教育にも力を入れていきたい。
【牟礼氏の回答】
 市長は市民とともに「断固反対」の姿勢を打ち出し、許可権者の兵庫県知事から意見を求められた場合は「同意しない」と回答すべきだ。また、計画に反対している「市民の会」の活動がさらに活発になるよう、事務局を支援する体制を早期に整備する必要もある。千種川の清流、豊かな瀬戸内海を守るのは私たちの義務だ。私が千種川水系のトップリーダーとして、その役目を果たします。

問6)公共料金の改定は?
 赤穂市では2016年に予定されていた使用料手数料等審議会の開催が消費増税延期に伴い見送られました。政府は2019年10月に消費税を10%に上げる見通しです。今後4年間で改定すべき市の公共料金はありますか。
【明石氏の回答】
 これまでも消費税率改正の際には、据え置くことも含めて使用料手数料等の見直しを行っている。今後、年金生活者も増加していく中、公共料金を改定することは大変なことだと認識している。行政サービスの提供に係る消費税の影響、また、前改定から10年が経過するため、社会経済環境の変化や受益者負担の適正化など、様々な角度から検討すべき問題だ。
【牟礼氏の回答】
 財政状況をよく見極めた上で判断しなければならない。どうしても改定せざるを得ないものがあるのであれば、議会と市民のご理解を得た上で改定することになるが、一律に増税分をアップするということではなく、負担増は必要最低限に抑えられるべきだ。

問7)赤穂市に必要な新条例は?
 自治体が新たな施策を導入する際、条例の制定が必要な場合があります。例えば、赤穂市では近年、「自然環境と再生可能エネルギー調和条例」「手話言語条例」が制定されました。今後、赤穂市で新たに制定すべき条例はありますか。
【明石氏の回答】
 近年、自治体独自の規制や施策の推進、奨励を目的とする条例が各地で制定されている。変化が加速する時代や地域社会に合わせ、既存の条例、要綱について随時適切に見直すとともに、増大する行政ニーズへの対応や地域課題解決のために必要となる場合は、新たな条例等の制定についても積極的に検討していく必要がある。
【牟礼氏の回答】
 清らかな千種川水系を守る「水源保全条例」。赤穂の自然と環境を守り、景観を良くし、治山治水を目的とした「里山保全条例」。
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2019年1月1日・第2部(2308号) 1面 (4,745,492byte)
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