赤穂市政特別アドバイザーを務める社会心理学者の三浦麻子・大阪大学大学院人間科学研究科教授らの研究グループが日本を含む５か国で実施した新型コロナウイルス感染症に関する意識調査で、「感染する人は自業自得だと思う」と答えた割合が、日本は欧米や中国と比べて高かったことがわかった。三浦教授は「（日本は諸外国と比べて）差別や偏見を許容しやすい雰囲気があるということでは」と指摘している。
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■「感染は自業自得」日本が突出
　調査は今年３月下旬から４月下旬にかけて日本、アメリカ、イギリス、イタリア、中国でインターネットを使って実施された。「新型コロナウイルスに感染する人は、自業自得だと思うか」と問い掛け、「まったく思わない」から「非常に思う」まで６段階で賛否を尋ね、各国４００〜５００人から回答を集めた。
　その結果、「どちらかといえば思う」「やや思う」「非常に思う」を選んだ割合の合計が、アメリカ１・００％、イギリス１・４９％、イタリア２・５１％、中国４・８３％だったのに対し、日本は１１・５０％だった。反対に「まったく思わない」と答えた人の割合は、日本は２９・２５％で、６０〜７０％台だった他の４か国よりも低かった。
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■感染公表できない社会望ましくない
　結果について三浦教授は、「世界各国と比べて『感染は自業自得』と考える率が日本で明らかに高いことは、他者による差別や偏見を許容しやすい雰囲気があるということでは」と憂慮する。「感染者を責めて、あるいは差別や偏見の対象にすることで、一時的に不安を打ち消せるかもしれないが、感染者が感染を公表できないような社会を作り出すことは道徳的にも、また、公衆衛生的にも望ましくない」と指摘する。
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■差別や偏見「あまりに短絡」
　「ウイルスは『悪人』を選んで感染させているわけではなく、『善人』は感染しないわけでもない」と三浦教授。「感染しないように避けるべきモノ・コト・人を避けることは必要だが、避ける対象を『悪』扱いすることは、あまりに短絡な行為だと気づいてほしい」としている。

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掲載紙面（PDF）：
2020年8月1日号(2380号) 3面 (8,631,834byte)
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