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「コロナ中等症受け入れ拒否」 保健所が「市民病院の懸念」報告

 2024年09月21日 
 感染症指定医療機関の赤穂市民病院が新型コロナウイルス感染症の感染拡大時に「中等症受入れを拒否していた」として、同病院の立入検査を実施した赤穂健康福祉事務所(保健所)が西播磨県民局長に「赤穂市民病院の懸念」として文書で報告していたことがわかった。

 一方、病院は赤穂民報の取材に「持てる医療資源の許す限り、中等症患者である酸素吸入者も受け入れてきた」(総務課)として「受け入れ拒否」を否定している。

 


 報告文書は今年4月1日作成された「令和6年度主要事項等 地域医療における赤穂市民病院の懸念」の件名。今年2月に同病院に対して行った立入検査後に作成され、赤穂市民病院で医療事故が多発した2019年9月以降の経緯を時系列順に記載しつつ、問題点を挙げている。

 報告書には、同病院が感染症指定医療機関であるにもかかわらず、「理解が不十分でコロナの中等症受入れを拒否していた」と記載。その他にも、(1)ヒヤリハットの報告について医師以外の報告はできているが、一部の医師については報告されていない(2)超勤管理簿に月90時間を超える医師が複数名簿から落ちていた。また長時間連続勤務後の休息も与えられていなかった(3)災害拠点病院の指定を受けているが、職員がその責務を理解していない(4)会議室前を術衣のまま歩いている医師がいた―などと問題点を列記。これらを踏まえて「医師の超過勤務、地域医療支援病院たる救急医療体制、災害拠点病院としての責務について、懸念される問題が確認できた」とまとめている。

 「コロナの中等症受入れを拒否していた」との記載について病院は取材に対し、「(立入検査で)そのような指摘は受けていない。当院は災害拠点病院(※回答ママ)として、持てる医療資源の許す限り、中等症患者である酸素吸入者も受け入れてきた」と回答。その他の問題点についても否定ないし正当化する回答がみられた(表参照)。

 しかし、改めて健康福祉事務所に取材したところ、コロナ中等症患者の受け入れ拒否について、「感染拡大の初期の頃、入院調整のため赤穂市民病院に患者の受け入れを打診した際、空床があるのに『酸素濃度が低過ぎる患者は受け入れられない』とか『人工呼吸器の装着など延命措置を拒否している患者でなければ受け入れない』といった理由で受け入れを断られたことがあったと現場から報告を受けている。受け入れを拒否された日時や回数は記録していないが、1回や2回のことではない」と具体的に当時の実態を証言。

 また、「ヒヤリハットの報告漏れ」については「立入検査時に病院職員から『一部の医師が報告してくれなくて困っている』と相談があった」とし、その他の問題点についても「2023年度中に消防訓練は行われていたが、災害拠点病院として実施すべき訓練は行っていなかった」「胸元がV字に開いたグリーンの半袖を着た医師が院内を歩いていた」などと報告書に記載した根拠を説明した。

 赤穂健康福祉事務所は「指導した内容が院内で共有されていないのであれば、口頭ではなく文書での指導や、あるいは『指導』よりも重い『指摘』に切り替える必要があるのかも知れない。今年度の立入検査でしっかり確認したい」と話している。

 感染症指定医療機関は種別により厚生労働大臣、都道府県知事が指定する。赤穂市民病院は二類感染症患者の入院を受け入れる第二種感染症指定医療機関に指定されている。

   * * *

「過去に例ない」
立入検査を妨害

 赤穂健康福祉事務所による昨年度の赤穂市民病院への立入検査をめぐり、病院側が指定期日までに必要な資料を揃えなかったために検査延期となり、同事務所から「故意の妨害は控えるように」と文書指導を受けていたことが県への取材でわかった。県によると、資料不提出によって検査が延期されたケースは「過去に例がなく、前代未聞」という。

 同事務所によれば、県は当初今年1月18日に立入検査を予定し、約4か月前の昨年9月6日付けで病院側に通知していた。しかし、同事務所が複数回催促したにもかかわらず、医師の超過勤務状況を記録した管理簿が提出されないまま検査日が迫り、検査前日に同事務所が「立入検査妨害」と判断して延期を通知した。同事務所は一連の経緯を病院事業管理者の立場だった牟礼正稔市長にも口頭で伝えたという。

 その後にようやく病院から管理簿が提出されて2月21日に立入検査が行われたが、同事務所によれば「医師の出退勤時刻が全員同じで、一目で実際の勤務時間を記録したものではないとわかる内容だった」という。同事務所は「職員の勤務実態表と職員名簿の勤務時間に乖離がある」として実態を反映した資料を提出するよう文書指導した。

 「検査妨害」と判断されたことについて病院は赤穂民報の取材に、「当院としては、妨害を意図したことはない。提出資料の集約について、病院全体のスケジュール管理の遅れが原因。立入検査の日程が再調整となったことは、県に対し申し訳なく思う。病院全体の検査に対する業務スケジュールの管理を徹底する」と回答した。
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掲載紙面(PDF):
2024年9月21日号(2568号) 1面 (5,245,634byte)
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[ 社会 ]


コメント

記事によれば、「空床があるのに『酸素濃度が低過ぎる患者は受け入れられない』とか『人工呼吸器の装着など延命措置を拒否している患者でなければ受け入れない』といった理由で受け入れを断られた」とのことですが、それが事実ですと、何のための感染症指定医療機関なのか。加算も受けているでしょうに。お金だけもらって患者は取らないというのはいかがなものかと思います。

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投稿:医療従事者 2024年09月26日

実際に「最大限にコロナ患者を受け入れている」ならば、なぜ公的で身内とも言える赤穂健康福祉事務所からこのような報告書が出されたのでしょうか?。
あまりにも対応が不十分だったのではないですか。

14  11

投稿:素朴な疑問 2024年09月25日

コロナ禍真っ只中の時期はどこの病院も大変で、全ての患者を受け入れることはできない。赤穂市民病院も限られたベット数の中で最大限のコロナ患者を受け入れているにも関わらず、このような記事はいかがなものか。頑張っている現場に対する敬意はないのか。どこの病院も保健所からの要請に全て答えられるわけではないと思います。

41  20

投稿:あ 2024年09月23日

この記事を読むと、市民病院は今自分たちがどういう状態で何をやっているのか全く理解できないでいるとしか思えない。
期限を守ることもできず、嘘の資料を平気で出し、悪びれず下手な言い訳を講ずる。
責任感の微塵も無い職員が仕切っている病院に行く人などいないだろう。

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投稿:市民63歳 2024年09月22日

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