神戸市の土木業者が福浦の採石場跡に月間最大１万トン超の産業廃棄物を受け入れる管理型最終処分場の設置計画を進めていることがわかった。
　計画によれば、県内外から燃え殻、ばいじん、汚泥などを持ち込み、２５年間かけて計２０４万立方メートル分を埋め立てる。処分する１４品目の中には石綿（アスベスト）を含有する廃プラスチック類、がれき類も含む。埋立地からの浸出水は処理設備を通して海へ放流するプランで、「周辺環境に与える影響はほとんどない」としている。
　事業者は神戸市灘区に本社がある「兵庫奥栄建設株式会社」（松本義之社長、従業員４７人、資本金５０００万円）。同社が平成２２年３月まで採石を行っていた掘削跡地を計画地としている。全体の敷地面積は約２０万７５００平方メートルで甲子園球場のグラウンドおよそ１６面分に相当。西側は山林をはさんで福浦漁港、南側は瀬戸内海国立公園の播磨灘に面し、市街化調整区域に指定されている。山林尾根を越えた約２００メートル先に最も近い民家がある。
　１０日から縦覧されている事業計画書によると、産業廃棄物の排出予定業者は、東は静岡県から西は福岡県まで。尼崎市、神奈川県川崎市の積み替え保管施設で船舶に積み込み、航路から搬入する。埋め立て期間は３期に分かれ、第１期の５年間は採石によって出来た穴（面積約４万２０００平方メートル、容量約４７万立方メートル）を埋め戻す。続く第２期、第３期（各１０年間）で階層状に積み上げ、埋立地の面積は約９万平方メートル、高さは最も高いところで地上約６０メートルに達する見込み。最終的に森林に復元する。
　環境保全措置としては、浸出液による地下水汚染を防ぐために埋立地の底部と法面に遮水シートを敷設する。中にたまった水は集水管で処理設備（一日当たり処理量１２０立方メートル）へ集め、汚泥沈殿と消毒などを行ってから海へ放流。放流水の水質には法令基準よりも厳しい自主管理値を設ける。また、雨水の流入を防ぐ集排水溝、廃棄物から発生したガスを処理する管などを整備。「周辺環境の保全のために最大限の努力を行う」としている。
　同社は「奥村組土木興業株式会社」（本社・大阪市港区、資本金１０億円）の関連会社。福浦の採石場は昭和３５年から本格的に操業し、標高７０メートル程度あった山地を切り開き、海抜マイナス１０メートル程度まで採掘した。当初計画では穴を土で埋め戻した上で地表と法面に植栽を施す予定だったが、平成２２年２月に環境影響調査に着手していることから、採石活動を終了する以前に方針を転換していたとみられる。
　事業計画書は１１月８日（金）まで赤穂西公民館、同社工場事務所（福浦字大谷３８１５、TEL４３・０６２２）の２カ所で日曜と祝日を除く午前９時半から午後４時半（土曜は正午）まで縦覧。１０月１９日（土）に同公民館、２０日（日）に福浦コミュニティセンターで同社主催の鷆和・福浦地区の住民向け説明会が開かれる。両日とも午後７時から。
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　▼管理型最終処分場とは＝産業廃棄物の最終処分場は、廃棄物処理法によって▽遮断型▽安定型▽管理型の３つに分類される。有害な廃棄物を埋め立て処分する「遮断型」は屋根や雨水排除施設で廃棄物中の有害物質を自然から隔離する。「安定型」は有害物質や有機物などが付着しておらず、雨水などにさらされてもほとんど変化しない産廃を処分。「管理型」は、遮断型でしか処分できないものを除いて埋め立てることができる。

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掲載紙面（PDF）：
2013年10月19日(2058号) 1面 (8,116,744byte)
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