事業所内のし尿浄化槽について法令に定められた管理を履行していないとして、福浦の「兵庫奥栄建設広陽工場」（白銀勝義工場長）が先月２７日、兵庫県の立ち入り調査を受け、浄化槽の使用中止などを行政指導されていたことがわかった。図面によると、浄化槽の排水管は工場そばの瀬戸内海につながっている。同工場は「浄化槽の容量に余裕があり、海への汚水の流出はなかった」と釈明しているが、ずさんな衛生管理体制は批判を呼びそうだ。
　同工場が県に提出した報告書などによると、問題の浄化槽は平成元年に設置した単独処理浄化槽（１６人槽）で全体の容量は２７２０リットル。業者に委託して年４回行っていた保守点検は平成２２年３月で打ち切り、浄化槽の清掃は２１年１１月が最後だった。また、立ち入り調査によって、▽汚物の浄化に必要な空気を送り込むためのブロアー装置が未設置▽指定機関が年１回行う法定検査を受けた形跡がない▽設置前に必要な届け出が確認できない−ことが判明した。
　同工場があるエリアは公共下水道の区域外。トイレや台所などの排水がある場合は浄化槽を設置しなければならない。浄化槽法は▽設置前の届出▽法定検査、保守点検、清掃の定期実施などを義務付けており、例えば、届け出なく設置した場合は「懲役３カ月以下または罰金５０万円以下」の罰則が規定されている。
　昭和３５年から敷地内で採石業を行ってきた同工場は平成２２年３月に採掘を終了。採石場跡地に産業廃棄物最終処分場を設置する計画を進めるため、それまで「１１〜１２人」（同工場）だった従業員数を１〜２人に減らして工場を存続している。
　浄化槽を適切に管理運用していなかったことについて同工場は、「当初は採掘終了後、工場プラントを解体し、人員を配置しない予定だった。委託業者に点検と清掃を停止するよう連絡したまま忘れていた」と説明。設置の事前届け出については、「業者の見積書に『申請料』が含まれていたので、届け出済みと思い込んでいた」とし、法定検査を受けていなかったことについては、「関連法令について勉強不足だった」と非を認めた。
　この問題は、赤穂市議会が昨年１１月に行った産廃処分場計画予定地の現地視察に参加した共産党議員団が浄化槽の有無を所管の西播磨県民局環境課へ照会して発覚した。同工場は県の指導を受けて便所を使用禁止とし、仮設トイレを設置。「今月中に浄化槽の清掃を行い、衛生状態を保つ」としている。
　県は「行政指導の内容は公表していない」として、赤穂民報の取材に答えなかった。

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掲載紙面（PDF）：
2014年2月15日(2075号) 1面 (9,831,700byte)
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