チコのセネガル通信(30)学校トイレの修繕が完了しました
2016年04月23日
紆余曲折を経て完成したトイレ
この小学校は500人を超える児童数に対してトイレが4つしかなく、しかも扉も屋根もありませんでした。肥だめ工事が途中のまま中断しており、授業に集中できないほどの悪臭が漂っていました。
作り直すトイレの数やデザイン、施工業者との費用交渉など、いろいろ紆余曲折はありましたが、一般社団法人「協力隊を育てる会」の支援制度(小さなハートプロジェクト)を活用して、念願のトイレが出来上がりました。今は子どもたちに手洗いを啓発しています。
日頃から私は住民に「・・・がほしい」「・・・がない」「・・・してくれ」とよく言われます。“日本からきたお金を持っている人”と認識されているためです。小学生の子どもには挨拶もなしに「お金ちょうだい」と言われることもあります。「あげない」というと「ケチ!」と言われます。
これは2つ理由があります。1つは私たち先進国と言われている経済的に豊かである国々が長年にわたって物資面・金銭面・技術面などにおいて与えてきたから。2つ目はイスラム教の「お金を持っている人は富を分配しなければならない」という教えがあるからです。
私はただ何かを与えることが良いことだとは思いません。なぜなら依存を生むからです。待っていれば誰かがなにかをしてくれるなんて状況が作り出されては、彼らは当事者なのに何もしなくてよいことになります。
そんな考えの私がなぜこの学校を支援したかと言うと、自分たちで資金集めのためのお祭りを開き、少しでも工事を開始したからです。権力者や発言力のある人のところにお金が回っているという悲しい現実はありますが、時間や労力を費やして自発的に努力しているところこそ支援すべきだと思います、
何はともあれ、修繕したトイレが長く使われ、児童の衛生環境が清潔に保たれること、今回の支援が「物を与えた」ととらえられないことを願うばかりです。
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▽チコ=坂越出身。津田塾大学で国際協力活動への関心を高め、卒業後に青年海外協力隊員を志願。平成26年9月から2年間の任期で西アフリカのセネガルへ赴任している。本名は前田智帆さんで、「チコ」は現地での愛称。
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掲載紙面(PDF):
2016年4月23日(2182号) 4面 (10,729,577byte)
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