一攫千金の夢昔も 江戸時代の富くじ箱
2016年11月10日
江戸末期の富くじ箱
市教委によると、赤穂市内で現存する唯一の富くじ箱で極めて貴重といい、同館で開催中の「新発見速報展2016」で展示している。
富くじ箱は六角柱で長さ約90センチ、直径約53センチ。市教委が収蔵品を再整理する過程で見つかった。同考古館が私設だった当時の館長が収集したものだという。箱に書かれている文字から、元治元年(1864)6月に現在の有年横尾地区で使ったもので、くじの木札(長さ3センチほど)も多数見つかった。
当時の抽選の様子を描いた図絵によると、箱を横向きにして回転台に取り付け、くるくる回して内部の木札を混ぜていたことがわかる。側面に扉があり、そこを開けて槍のようなもので木札を突き差し、当たり札を選んだ。
市教委によると、幕府は江戸時代後半に富くじを博打の一種として禁止したが、社寺の改修や建替の費用をまかなう目的の場合は許可されていた。今回見つかった富くじ箱にも「土橋」の文字がある。「土橋」は「土手の上を通る道路」のことで、道路修繕の名目で開帳したとうかがえる。
市教委の調べでは、江戸時代の富くじの一等賞金は「金100両」(現在の500〜1000万円)だったのに対し、参加費は「銭500文」(同5千円〜1万円)。比較的高価なため、一つの札を仲間で共同購入して参加することが多かったという。
一緒に保管されていた木札には番号や名前、地名などが書いてあり、その一つに「周世」の文字が確認できる。市教委は「周辺の村々からも参加したのだろう」と推測する。また、「南無阿弥陀仏」「アリガタヤ」といった文言もあり、幸運を求める応募者の気持ちが垣間見える。
市教委は発掘や整理によって得られた新たな成果を紹介する「新発見速報展」を毎年開催している。今回は富くじ箱のほか、有年楢原の「番ヶ瀬4号墳」で出土した「陶棺」(古墳後期〜飛鳥時代)の破片、加里屋の城下町発掘で見つかった火縄銃の弾丸鋳型(江戸初頭)など250点を展示している。
入館無料。来年1月30日(月)まで午前10時〜午後4時。火曜休館。Tel49・3488。
<前の記事 |
掲載紙面(PDF):
2016年11月12日(2206号) 1面 (12,474,401byte)
(PDFファイルを閲覧するにはこちらからAdobe Readerを入手してください。)
市美術展の作品搬入は9月27日 尾上松之助の忠臣蔵 幻のフィルム発見 [ 文化・歴史 ] 2015年09月09日御崎の米谷さん たつの市美展で市長賞 [ 文化・歴史 ] 2015年09月08日『赤穂の民俗』全11巻を電子化 [ 文化・歴史 ] 2015年09月06日周世の神護寺が老朽化で全壊 女性たちの合同絵画展 [ 文化・歴史 ] 2015年09月01日『うね文芸』節目の150号 [ 文化・歴史 ] 2015年08月31日浦島太郎や桃太郎の心中考察 林鶴雄が描いた「懐かしい風景」 [ 文化・歴史 ] 2015年08月28日有年公民館で音楽のつどい 市民文化祭、短歌・俳句を募集 赤穂の移民が創始「青島の盆踊り」復活 [ 文化・歴史 ] 2015年08月21日23日は新田で「たくみさん」 アマ写真家「日本の滝展」 [ 文化・歴史 ] 2015年08月18日八幡宮が神輿の担ぎ手募集
コメントを書く