唐船海岸工事で残土不正処分疑惑
2019年02月09日
唐船海岸環境整備工事に伴う残土処分の流れと関係者のコメント
工事を請け負った赤穂市内の土木会社と、伝票を発行した佐用町内の処分場は、赤穂民報の取材にいずれも疑惑を否定している。
工事を所管した県西播磨県民局光都土木事務所によると、同工事は海水浴場でもある御崎の唐船海岸に堆積したぬかるみを浚渫して代わりの砂を投入する内容で、昨年8月中旬〜11月末の工期で施工された。除去したぬかるみは残土(建設発生土)として現場近くの仮置き場で水を切ってから、残土の処分が認められている県登録の処分場へ搬入することになっていた。土木会社は、複数の下請け業者のダンプ計9台を使って10月24日〜26日の3日間で合計880トン(490立方メートル相当)の残土を佐用町内の登録処分場へ搬入したとする残土処分伝票を県へ提出し、今年1月10日、残土処分費を含む工事一式の請負代金として約5330万円を受け取った。
ところが、「唐船の公共工事で出た残土が上郡町内の生コン工場敷地内に不正に埋め立てられた」という旨の通報が県に寄せられ、同土木事務所が1月10日に生コン工場を現地確認。「唐船から出た残土とみられても仕方のないような印象の土砂」(同土木事務所)が見つかったが、確認に立ち会った土木会社の担当者は「唐船から出た土砂ではない」と否定したという。
赤穂民報は、伝票のコピーを公文書公開請求で県から入手。記載されている車両ナンバーや署名などから残土の運搬を担当したとされる下請け業者やドライバーを割り出して話を聞いた。すると、彼らから「唐船から上郡まで土砂を運んだが、佐用には運んでいない」との運行記録や証言が得られた。
もし、これらの運行記録や証言が事実だとすれば、残土を不正に処分した上で、適正に処分したように見せかけるために伝票をねつ造したのではないか、との疑いが浮上する。
残土は本当に佐用町内の登録処分場へ運ばれたのか。土木会社の担当者は、本紙が最初に取材した1月15日の時点では「全部で600〜800立方メートルくらいの残土が発生した。水気が多く残っていて処分場に持って行けないものがあったので、水切りするために(生コン工場敷地内に)残土の一部を仮置きした。乾いていた490立方メートル分は佐用の処分場に処分した」と弁明。さらに、2月1日の2度目の取材には、「とりあえず生コン工場へ土を運んだ。一旦そこへ降ろして、他の土と混ぜてから佐用の処分場に持って行った」などと説明を二転させながらも、あくまでも処分場へ搬入したと主張した。
残土が持ち込まれた生コン工場は、土木会社の女性社長の夫が経営しており、両社は「親会社と子会社の関係」(土木会社担当者)だという。佐用町内の処分場の経営者は、県に提出された伝票について、「うちにも控えがある」と自社が発行した伝票であることを認めた上で、「実際に残土が入ったから出している。カラ伝票ではない」と不正を否定した。
一連の疑惑について、同土木事務所は取材に「詳しいことは言えないが、疑っている。詳しく調査した上で本庁と相談して対応を判断する。不問にするつもりはない」と話している。
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掲載紙面(PDF):
2019年2月9日号(2313号) 1面 (4,719,911byte)
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