障がい者用トイレ調べてマップに
2019年08月03日
フィールドワークを基にバリアフリー対応トイレマップと提言をまとめたはくほう会医療専門学校赤穂校作業療法学科2年生のみなさん
作業療法学科2年生16人が地域作業療法学の授業の一環として取り組んだ。5月と7月に計3回、車椅子利用者や視覚障害者を交えてフィールドワークを実施し、赤穂駅から赤穂城跡にかけて点在する公衆トイレ(一部民間の店舗や医療機関を含む)約30か所で間口や面積、設備などを調査。ドアの構造やトイレットペーパーの位置など細部にわたって記録した。
調査の結果、バリアフリー対応のトイレは16か所あり、そのうち助けを呼びたいときなどに押す呼出ボタンが設置されているのは7か所しかなかった。また、点字がどこにあるのかわかりにくかったり、欠けていたりするトイレもあった。
学生らは調査で得た情報をホームページにまとめ、スマホでも見られるように公開。バリアフリー対応トイレについてはA3判両面のマップに印刷した。また、観光や障がい福祉などの関係機関に参加を呼び掛けて報告会をこのほど開催。▽扉の引き戸への改修▽清潔さの確保▽手すりを左右両方に設置−などの改善点を指摘したほか、「観光ルート上に障がい者や高齢者が安全安心に利用できるトイレを設置して発信すれば、観光客を呼び込める」とし、モデルケースとして加里屋の「いきつぎ広場」のトイレを個室タイプにリニューアルする青写真を提示した。
障がい者の話では、「身障者用トイレといいながら、車椅子で転回できないくらい狭くて、実用できない場合もある」という。報告会に参加した赤穂市介護者の会の役員は「介護が必要な人が出掛ける際、一番に気にかけるのがトイレ。広さや設備など具体的な情報を事前に知ることができればありがたい」と取り組みを評価。市観光協会の安田哲事務局長は「協会のホームページでも情報発信できるよう、マップのデータを提供してほしい」と希望した。
フィールドワークでリーダーを務めた丸井猛さん(45)=板屋町=は「それぞれのトイレによって異なる手すりや操作ボタンの位置や形状を統一できれば、とても使いやすくなるのではないかと思った」と気付きを話し、もう一人のリーダーの前田康宏さん(36)=本水尾町=は「今回の提案が改修に役立てば、調査した甲斐がある」と期待した。
報告会の質疑応答では来場者から「御崎や坂越など他のエリアでも調査してほしい」「入浴施設についても調査してみては」といった要望もあった。今回の取り組みを指導した専任教員の赤堀将孝さんは「これからも地域に根ざした活動を通して課題を分析できる力を養ってほしい」と学生たちに期待した。
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2019年8月3日号(2335号) 1面 (10,993,275byte)
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