【寄稿】緒方貞子さんとの思い出
2019年11月03日
緒方貞子さんの提案でJICA地球ひろばで開かれたアートマイル壁画展=ジャパンアートマイル提供
2007年11月、秘書を通じて緒方貞子さんから連絡があった時には「えっ、緒方貞子さんですか!?」と大変驚きました。
海外のパートナー校とインターネットを使って対話して一枚の壁画を共同制作する国際協働学習「アートマイル」をスタートした06年に、シリアのパレスチナ難民キャンプの子どもたちと日本の小学校・中学校をネットで繋いでプロジェクトを実施しました。そこで生まれた5点の壁画を当時JICA理事長だった緒方さんが関連施設で展示したいとおっしゃったのです。夢かと思いました。
何でも、07年10月にUNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)の事務局長が来日して緒方さんを表敬訪問された際に、「UNRWAが支援するパレスチナ難民キャンプの子どもたちと日本の子どもたちがアートマイルというプロジェクトでテレビ会議でface−to−faceで話し合ったり、電子掲示板で意見交換するなどして相互理解を深めている様子を視察して感動した」と緒方さんにお話されたところ、緒方さんが是非アートマイル作品をJICAで展示してもらったらとおっしゃったそうです。
こうして08年2月に当時広尾にあったJICA地球ひろばで、「アートマイル壁画展〜壁画でつなげよう!子ども・世界・平和〜」が開催されました。展示の際には緒方さんにお目にかかるチャンスはありませんでしたが、翌年に直接お話しする機会をいただきました。緒方さんはそのときすでに80歳を超えておられましたが、大変小柄な体から放出されるエネルギーに感動しました。
JICAとのご縁はこうしてアートマイルスタート時点にまで遡ります。今も毎年世界の至るところでJICA海外協力隊の支援で日本と開発途上国の子どもたちの協働学習が行われていることを思う時、緒方貞子さんが始まりだったなと感慨深いものがあります。
緒方貞子さんのご冥福をお祈りします。(一般財団法人ジャパンアートマイル理事長・塩飽隆子)
<前の記事 |
掲載紙面(PDF):
2019年11月9日号(2347号) 4面 (6,821,506byte)
(PDFファイルを閲覧するにはこちらからAdobe Readerを入手してください。)
[ 文化・歴史 ]
温かな感動、歳時記描いた色紙展 [ 文化・歴史 ] 2012年05月22日昭和11年の学校教育マニュアル [ 文化・歴史 ] 2012年05月19日趣味の絵で万葉の情景描く [ 文化・歴史 ] 2012年05月19日素行研究会の参加者募集 18日から赤穂美術協会展 [ 文化・歴史 ] 2012年05月14日書と絵画と写真、シルバー二人展 [ 文化・歴史 ] 2012年05月14日有年考古館で新収蔵展 [ 文化・歴史 ] 2012年05月09日遺跡巡って古代へ思いはせる 田淵記念館で林鶴雄と爽林会展 [ 文化・歴史 ] 2012年05月05日西播磨初の指定を祝賀 [ 文化・歴史 ] 2012年04月28日歴史博物館が展示替え、初公開の浮世絵 [ 文化・歴史 ] 2012年04月28日多彩な美術工芸「グループ倫」展 [ 文化・歴史 ] 2012年04月26日生島樹林、市民の手で再生 [ 文化・歴史 ] 2012年04月25日赤穂の風景スナップ写真展 [ 文化・歴史 ] 2012年04月25日29日に誓教寺で「御絵解法要」
コメントを書く