赤穂中央病院に聞く コロナ診療の状況〜後編
2021年03月20日
全国でも先駆けて導入されたPCR検査機器
今後の課題を含め、赤穂中央病院の長尾俊彦院長、COVID―19対策チームリーダーの矢部博樹副院長、山本美和子事務部長、感染管理認定看護師の勝平真司さんに取材した後編。
* * *
――検査はどのくらい実施しましたか
「いずれも1月末時点で、抗原検査は924件、PCR検査は1616件です。まず抗原検査を入れて、8月にLAMP(ランプ)法と呼ばれるPCR検査機器を導入しました。さらに12月にはPCR検査結果が15分以内に判明する「ID NOW COVIDー19」と呼ばれる機器を導入しました。この機器は米国製なのですが、日本で使用が認められる前に注文をかけましたので国内でも早い時期に導入できました」
――そうした機器や物資は入手困難なことが多いのでは
「機器や物品を購入するには、従来は月1度の購入委員会で承認を得る必要があったのですが、古城資久理事長の指示でコロナ診療に必要な機器や物品は対策チームが申請すれば購入許可が出る仕組みに変わりました。そのため、時間のロスを防ぎ、迅速に発注できています。さらに、防護具や消毒液などは東京にあるグループ病院も含め各施設で3日分を備蓄し、西日本と東日本に設けている備蓄庫に3週間分を備蓄しています」
――古城資久理事長のブログによると、コロナ診療を担当しているスタッフの報酬は「日本一手厚い」そうですね
「国の補助制度は、例えば発熱外来で10人の患者さんを診療できる体制を整えていたところに実際は6人の患者さんだったとしたら、4人分の人件費について国が補償しますといった仕組みなんですね。その補助金をどのように活用するかはその医療機関に任されている部分があるんですが、国から支給された補助金はスタッフのためにいただいたものなので、関わった人たちに配るのが当たり前という考え方でやっています。その結果、コロナ診療に関わったスタッフへの危険手当で言いますと、うちの1日分が、他の病院の1か月分といった額になっているようです」
――コロナ診療に従事される方は志願制ですか
「看護部ですと、課長と係長でシフトを組んで担当しています。志願というわけではないんですが、課長と係長が『若い看護師には危険な現場は任せられないから、自分たちがやります』ということで担当してくれています。だいたい10人でコロナ病棟を担当して、発熱外来は事務を含めると25人くらいですね」
――人が足りなくて困ったことはないですか
「今がぎりぎりの状態だと思いますね。これ以上に受け入れ人数を増やすということになれば、また考えたと思います。今危惧しているのは、これから始まるワクチン接種に従事するスタッフをどのように絞り出すかということです。通常の診療と並行してですからね」
――ワクチン接種の準備は進んでいますか
「当院もワクチン接種の拠点となる基本型接種施設になり、2月25日に冷凍庫が納品されました。2012年から毎年、職員対象のインフルエンザワクチンの集団接種を実施していまして、400〜500人を2〜3回に分けて接種した実績があります。その経験を活かして進めていく計画です」
――これまで振り返って一番苦労したことはなんでしょうか
「次から次へと課題が出てくるので、ずっと走りっぱなしでした。ウイルスって目に見えない。見えないものに対する不安、恐怖感がある。医者であっても不安を口にする方もあります。一般の人ならなおさらですよね。どのように正しい情報を発信していくか。それはこれからも続くのだと思います」
――今後の課題はなんでしょうか
「やはりワクチン接種がスムーズに進むかどうか。そもそも、ワクチンが必要な数だけ入ってくるのかどうか。あと、一番懸念しているのは高齢者施設でクラスターが発生しないかです。緊急事態宣言が明けて、制限が緩やかになれば感染拡大のリスクは当然広がるわけで、クラスターが発生することも念頭に置いて準備しておく必要があると考えています。地域の医療を守るために民間病院も頑張っています。民間病院ならではのフットワークの軽さを活かして、いち早く対応していきたいと思います」
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投稿:カラカラてるめ 2021年05月27日コメントを書く