《浄水施設担当課長汚職》元市課長が起訴事実認める 贈賄側3被告に懲役1年求刑
2021年05月12日
赤穂市浄水施設工事をめぐる贈収賄事件の構図
検察の冒頭陳述によると、元課長は昨年3月と5月に勤務先の北野中浄水場事務室で貯水槽メーカー「森松工業」(岐阜県本巣市)の社員から現金計218万円を受け取り、「御崎配水池整備」「(仮称)北野中浄水場第1系浄水池更新」の各工事で貯水タンクの設計図書を同社製の仕様に合う内容に差し替えたとされる。
スーツ姿で出廷した元課長は「間違いありません」と起訴事実を認めた。贈賄側の被告3人も起訴事実を認めた。証拠調べが終わったところで裁判長が元課長の審理を分離。検察は贈賄側の3被告に「公務員の職務の公正、社会の信頼を大きく害した」などとして、いずれも懲役1年を求刑した。弁護側は「すでに社会的制裁を受けている」「再犯の可能性は低い」などとして執行猶予付き判決を求めた。
贈賄側3被告の判決は6月28日(月)に言い渡される。
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「補償金」名目に現金要求
公判では、犯行に至った経緯を検察が指摘した。
検察によると、2019年10月ごろ、高級外車の購入をきっかけに借金に窮していた元課長は、貯水タンクの営業担当者だった森松工業の社員に対し、いずれ金を工面に利用できるとの思いから、北野中浄水場の浄水池更新に関する設計図面を森松工業製の仕様に差し替えることを提案。翌年3月、「市の別の工事で発生した補償金に充てる金が必要」との名目で現金210万円を社員に要求したという。
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御崎配水池の不正は業者側から打診
社員は上司に相談した上で、北野中浄水場に加えて御崎配水池についても図面の差し替えを打診し、元課長が了承。昨年3月26日、西日本ブロック統括部長が自分の貯金を取り崩して用意した現金を社員から受け取り、202万円を消費者金融への返済に充てたという。
さらに、元課長は昨年5月にも借金返済に充てるため、同様の口実で現金8万円を社員に要求。御崎配水池の入札公告が翌月に迫っていた時期だったことから、社員と上司は約束を守ってもらうために現金の追加供与を決めたという。
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仕様と図面で事実上受注決定
冒頭陳述によると、配水池のステンレス製タンクは、西日本では森松工業と別会社の2社が寡占。両社のタンクには異なる特徴があり、使用する部材も異なる。特記仕様書や図面などで一方の仕様が採用されると、そのメーカーの下請け受注が事実上決定する状況という。
検察は、犯行に使われた工事2件の特記仕様書や図面は、それぞれ別のコンサルタント会社が作成し、北野中浄水場は中立的な内容、御崎配水池は別会社の仕様となっていたと指摘。社員が当初、北野中浄水場の実施設計業務を落札したコンサル会社に自社製品を採用してもらおうと営業をかけたがうまくいかず、元課長が口添えしても担当者から断られたため、両被告が図面の差し替えを合意することに至った、とした。
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初公判での主なやり取りについて追記しました。(2021年5月16日9時00分)
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【関連記事】元市課長を詐欺罪で追起訴
掲載紙面(PDF):
2021年5月15日号(2416号) 1面 (8,445,863byte)
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