義士介錯の末孫が一族譜刊行
2013年05月25日
堀部弥兵衛の介錯人、米良市右衛門の末孫で『肥後藩参百石 米良家』を著した近藤健さん
熊本藩士、米良市右衛門(めら・いちえもん、1662〜1735)は元禄16年(1703)2月4日、細川邸で切腹した堀部弥兵衛の介錯人を務めた。著者の近藤健(けん)さん(53)=札幌市白石区=は、市右衛門から数えて12代目の同家当主、米良周策さん(89)=同市南区=を大叔父にもつ。
近藤さんは8年前、同家に伝わる古文書を手がかりに初祖以降の系譜を調べる作業に取りかかった。義士研究家で近世史に詳しい佐藤誠さん(40)=東京都西多摩郡=が史料の翻刻に協力。さらに、知人などの協力で「有禄士族基本帳」(熊本県立図書館蔵)など貴重な史料がもたらされ、市右衛門をはじめ、日本史上のさまざまな戦乱や事件に巻き込まれながら血脈を繋いできた一族の歴史が次々と明らかになった。
本書では、2代市右衛門をはじめ、西南戦争で西郷軍に合流して戦死した9代左七郎、明治新政府に反旗を翻した「神風連の乱」に参加して自刃した10代亀雄、太平洋戦争後のシベリア抑留中に病死した12代繁実など波乱に満ちた生涯を一代ずつ記述。後半の史料編は共著者の佐藤さんが編集し、市右衛門が堀部弥兵衛の介錯人だと判明した経緯を記した近藤さんのエッセイ(文藝春秋『2008年版ベスト・エッセイ集』選出)も付録した。
「書くべきことを余すことなく、すべて書けた」という渾身の一冊はA5判346ページ。「ご先祖様のご指名と思い、何とか書き継いだ。やっと肩の荷が下りた」と近藤さん。「時代に翻弄されながらも懸命に生きた姿を行間から感じ取ってもらえれば」と話している。
花乱社(TEL092・781・7550)から6月1日発売。3800円+税。
<前の記事 |
掲載紙面(PDF):
2013年5月25日(2039号) 3面 (9,376,959byte)
(PDFファイルを閲覧するにはこちらからAdobe Readerを入手してください。)
[ 文化・歴史 ]
土器に見る渡来人の息吹 [ 文化・歴史 ] 2014年07月18日行燈の明かりに浮かんだ献納俳句 [ 文化・歴史 ] 2014年07月15日伊万里焼をテーマに茶話会 有年牟礼・山田遺跡の調査報告書刊行 [ 文化・歴史 ] 2014年07月12日姫響の演奏会、赤穂出身ピアニスト独奏も 師走の第九合唱へ練習スタート [ 文化・歴史 ] 2014年07月11日棟方志功の処女版画集を展示 [ 文化・歴史 ] 2014年07月11日葛籠、背負子など「昔ばなしと民具」展 [ 文化・歴史 ] 2014年07月04日市美展2014の作品募集要項 大石神社薪能、1日から前売り開始 色絵の美、絵付師・稲田芳雲展 [ 文化・歴史 ] 2014年06月26日「絵画を楽しむ会」のギャラリー展 [ 文化・歴史 ] 2014年06月23日豊かな実り願って早乙女がお田植え [ 文化・歴史 ] 2014年06月22日コンセル・ヌーボ第31回定演 美術工芸作家ら多彩にグループ展 [ 文化・歴史 ] 2014年06月17日
コメント
0 0
投稿:堀部義数 2014年05月17日コメントを書く