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【寄稿】大塚忠弘さんを偲んで

 2013年07月27日 
故・大塚忠弘さん=4月27日、腎不全のため死去。72歳(肖像画)
 6月12日から17日の間、お元気だった頃のオメメ先生(大塚忠弘さんの愛称)が毎年のように訪れた中国に行ってきました。先生からお話を聞いたことのある杭州の西湖はとても素晴らしいところでした。ここでもオメメ先生は釣り糸を垂れたのかな?とそのお姿を思い浮かべました。
 オメメ先生と出会いは30数年前のことになります。当時、私は市民会館のパソコン教室卒業生が集まって誕生した「赤穂パーソナルコンピュータ・クラブ」の会員でした。オメメ先生は同時期に、よりマニアックなメンバーが集まって結成した「システム研究会」の会長で、両団体の交流を通してお付き合いが始まりました。
 その後パソコン通信の時代を迎え、「姫路タウンネット」、「播磨タウンネット」と時代は進み、インターネットが登場すると「赤穂インターネット協議会」を設立し、本業の眼科医のかたわら、初代会長としてインターネットイベントを開催するなど赤穂の情報化に力を尽くしてくださいました。
 この間、竹田美幸さんという重い障害を持った女性が自由のきかない体でパソコン通信の掲示板に思いを綴った文章を『ing…見えない頂上に向かって』という本として出版する際ご尽力されるなど、いつも周りの人に優しいお気持ちを持っておられました。
 パソコン通信に始まってインターネットへと発展する中、オメメ先生の書かれる文書はいつも優しい文調でウィットに富んでいるものでした。一方、テーマとして取り上げるものは事実確認を怠らず、国会図書館にまでも問い合わせるという徹底ぶりでした。メールマガジン「オメメの玉手箱」から幅広い知識を教えてもらった方も多いことと思います。それらを集め「こだわり語源紀行」という本を出版されています。
 類い希な釣り人でもありました。御崎の今井荘でボートを借りては、お一人で工夫を重ねた仕掛けを使って漁師のように魚を釣り上げていました。仲間が集まる恒例のパソコン合宿では、いつも集まった仲間は先生の釣果を楽しみにしていました。
 先生は、日本に留学している中国人の身元保証人を引き受け、ご自分の医院で医療助手として雇用されるなど国境を越えて頑張る若い人へ大きな支援をされた方でした。また、樫本大進さんが赤穂国際音楽祭で来穂したときは、いつも参加した演奏家の方々を大塚家に招かれ楽しい時間を過ごしておられました。
 天国でも釣りを楽しみながら、引き続き「オメメ語録」を書き続けておられることでしょう。
 長い間ご指導いただいたことに感謝致します。オメメ先生、ありがとうございました。
  * * *
 塩飽康正(ジャパンアートマイル副代表、元赤穂インターネット協議会事務局長)
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掲載紙面(PDF):
2013年7月27日(2047号) 3面 (9,071,343byte)
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