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荒川十太夫の子孫が義士墓参

 2013年05月23日 
花岳寺で義士墓所を参拝する荒川十太夫10代目子孫、池田元さん
 講談の忠臣蔵外伝「誉れの三百石」のモデルとなった伊予松山藩士、荒川十太夫の10代目子孫で社員教育会社経営の池田元さん(50)=東京都豊島区=が23日来穂。赤穂城跡、花岳寺など義士ゆかりの地を訪ねた。

 十太夫は同藩で代々剣術師範を務めた荒川家の初代。吉良邸討ち入り後に同藩に預けられた赤穂義士、堀部安兵衛と不破数右衛門を介錯した。池田さんは十太夫から8代目の故・荒川ノブさん(1900〜1990)の孫で、同家に口承される十太夫の話をノブさんから何度も聞かされたという。

 池田さんは赤穂大石神社で安兵衛の鎖頭巾と鎖襦袢を、花岳寺では数右衛門の甲冑をそれぞれ見学した。同寺の義士墓所で「供養に参上しました」と膝をついて合掌。赤穂を訪れたのは初めてで、「遺徳を偲ぶ空気と清浄な空間があると感じました。『正しく生きる』生き様を受け継ぐことが何よりの供養になると思います」と義士の魂を偲んだ。

 講談「誉れの三百石」で十太夫は、切腹直前の安兵衛から身分を問われる。武士の格式を重んじる気持ちを察し、とっさに「物頭役三百石でござる」と実際よりも高い役職と俸禄を答えた十太夫。安兵衛を心安らかに旅立たせたものの、偽ったことを思い悩み、「せめて命日には物頭役三百石の出で立ちで墓参を」と夫婦で内職をして羽織袴などを揃える。やがて上役に見つかり露見するが、禁を破ってまでの忠義に感銘した藩主公は「とがめはせぬぞ十太夫。犯した罪は荒川の、水に流して忘れよう」と十太夫を物頭役三百石に取り立てる。
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掲載紙面(PDF):
2013年6月8日(2041号) 3面 (8,611,806byte)
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