津波浸水域「最大489ヘクタール」と想定
2014年02月25日
兵庫県が公表した「津波浸水想定図・赤穂市」の一部
想定は学識者などで構成する県の専門委員会(委員長=室崎益輝・神戸大学名誉教授)の意見を参考に昨年12月の阪神地域、淡路地域に続いてまとめた。県はこの結果を踏まえた死者、負傷者数、経済損失などの被害想定を3月末にもとりまとめる。
県の解説資料によると、国が示した11の津波断層モデルのうち、市町ごとに最高津波水位が最大となるモデルについてシミュレーション。▽ケース1=門扉は開放(自動閉鎖及び常時閉鎖しているものを除く)、防潮堤等は津波が越流した場合に破堤▽ケース2=門扉は閉鎖、破堤なし−の2パターンで算出した。地震動による防潮堤の沈下、河口幅30メートル未満の2級河川への津波の遡上など、国が平成24年8月に発表した津波浸水想定では考慮していない要素も加味。10メートル四方の単位で浸水深を割り出した。
その結果、赤穂市ではケース1だと、加里屋川、塩屋川、大津川を津波が遡上すると想定。地面から1センチ以上浸水する面積は中心市街地、千鳥、新田、塩屋、鷏和、福浦など合計489ヘクタールとなり、そのうちの136ヘクタールで浸水深が「1メートル以上」、9ヘクタールで「2メートル以上」となった。ケース2の場合は、浸水面積は約6割少ない195ヘクタールに減少したものの、国想定の「30ヘクタール」を大きく上回った。
今回の結果を当てはめると、赤穂市内に19カ所ある「津波避難場所」のうち、敷地の一部でも浸水エリアに含まれる施設は9カ所となる。市危機管理担当の平野勝則課長は「県から詳細なデータを受け取り、津波ハザードマップをまとめたい」と話している。
敷地の一部が浸水域に想定された中広の赤穂市民病院は高さ50センチの水かさまで対応する止水シート、水に浸して使う吸水性土のうを今年度購入。津波の襲来が予測される場合は職員が手分けして1階の各玄関と非常用発電機室をブロックする計画を立てている。沿岸部に立地するある企業は「対策の打ちようがない。従業員を安全に避難させることしかできないのではないか」と困惑していた。
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掲載紙面(PDF):
2014年3月1日(2077号) 4面 (12,050,945byte)
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