株式会社 赤穂民報社
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1968年(昭和43)11月
1968年(昭和43)11月15日
広島秀紀
19,500部
毎週土曜日に一般紙朝刊に折り込み
・赤穂市内(神戸、朝日、読売、毎日、産経、日経)
・上郡町内(朝日、読売)
・岡山県備前市日生地区(山陽)
※赤穂市内の主なコンビニ店、スーパーのほか、本紙事務所前でも配布しています。
※本ウェブサイトでも紙面PDFを閲覧いただけます。
その昔から義士と塩の町としてその名をはせた郷土赤穂。ここ十数年来の発展ぶりは、久しぶりに当地を訪れた人々の目を見張らせている。 特に国鉄赤穂駅を中心にした市街は十二、三年の間に驚くべき変わり方を見せている。言うなれば、当市は発展する要素を十二分に兼ね備えているといえる。すべて人間の生活に欠かせぬ水は県下でも水質、水量を誇る千種川を有し、塩田をはじめ、住宅、工業に適した広大な土地、天災も少なく恵まれた気候、加えて近代産業の実現に絶対必要な広い海に面しているなど、数えれば数え切れないほどの好条件が揃っている。
市制施行以来、とかく発展をはばんできた交通輸送問題が赤穂線の電化、難所高取峠を含めた国道二五〇号線の整備で確立され、産業、観光面の開発に大きく貢献しているのが事実、その恩恵のあらわれともいえるものに、西浜塩田の全面売却による工業転換、さらに東浜塩田も近い将来転換が実施されようとしており、市が打ち出している長期基本計画に則って一大飛躍が約束されている。
かといって、あまり喜んでばかりはいられない。なぜならば、全国の先進都市にも例の出ている公害、また日ごとに増える交通事故と、一面では市民の生活、生命までもおびやかされている問題があり、これらと取り組まねばならない宿命が市民の前に大きく立ちはだかっているのである。
このように、我が郷土赤穂の前途は洋々たるものがある反面、山積された幾多の障害がある。それらもろもろの問題と真っ向から取り組み、真の市民の良き代弁者として、問題の解決、助成に寄与したい一念から、ここに「赤穂民報」を発刊することに決したのである。“あくまでも市民と直結し、民衆の声を盛り込み、報道し、市民のためにあるべき新聞”といった意味から社名も「赤穂民報」とした所以である。
誰にもはばからず、何者にも屈せず、社会の公器として、厳正にして公平な立場を守り、世の悪に対しては敢然と戦い、また町の片隅に小さく咲いた善意の花は広く世に出す。いわゆるきめの細かい編集を目指し、市民に溶け込み、その声、訴えを如実に紙面にうたっていく郷土紙となることをここで固くお約束したい。ともあれ、生まれたばかりのものなので読者、いや全市民のこよなき声援を切に願って創刊のことばといたします。
昭和43年11月15日
広島三郎