2015年06月22日
修繕のため船倉から出された歌船
「坂越の船渡御祭保存会」は20日、県指定有形民俗文化財の「歌船」1隻を修繕するため、ドックがある姫路市的形まで曳航した。10月の祭礼までに修理を終えて戻る予定。
「坂越の船祭」(国重要無形民俗文化財)は木造和船が行列を組んで海上巡航する伝統祭礼。祭りで使用される和船のうち、歌船と神輿船、警固船など6隻が県の文化財に指定されている。
現在の歌船(全長12・81メートル、全幅2・42メートル)は昭和34年の建造から半世紀以上が経過して船底からの浸水が顕著に。数年前から体調を崩していた船大工の湊隆司さんが昨年5月に亡くなって修理が出来ず、昨秋の祭礼は出航を見合わせた。文化庁の補助が認められ、和船を復元建造した実績がある「オクムラボート販売」(奥村雅晴社長)に修繕を託すことにした。
船を保管する生島に保存会員と神社役員らが渡り、漁船に搭載した漁網巻き取り機のロープを歌船に連結。巻き取り機を慎重に回転させて船倉から海へと引っ張り出した。漏れ入る海水をポンプ2機で汲み出しながら約28キロ先の的形までおよそ2時間かけて曳航した。
到着した歌船はさっそくドックに引き上げられた。今後は同社の棟梁が念入りに点検して浸水原因を特定。必要な修繕を施す。今秋の祭礼が終われば、神輿船を修繕に出す予定。保存会の篠原明会長(78)は「湊さんがいなくなってしまったのは残念だが、和船を大切に守り継いでいきたい。秋に元気な姿で戻ってきてほしい」と話している。
[ 文化・歴史 ]
掲載紙面(PDF):
2015年6月27日(2141号)1面 (10,734,617byte)
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