2015年10月31日
難病に負けずマラソン大会完走を目指す平野勝さん(右)と伴走サポートする細川福成さん
もう一度、ゴールテープを切りたい−。足を思うように動かせず、要介護認定を受けている難病の男性が第5回赤穂シティマラソン(11月8日)の完走を目標にトレーニングに励んでいる。事情を知ったケアマネージャーが伴走者としてサポート。“二人三脚”でゴールを目指す。
坂越の平野勝さん(74)は相生市内のガソリンスタンドに勤務していた40歳のとき運動不足解消を目的にジョギングを始めた市民ランナー。これまでに239のロードレースに出場し、フルマラソン完走は25回を数える。赤穂シティマラソンは毎回出場し、第1回大会ではハーフの部を2時間22分25秒で走りきった。
その健脚に異変を感じたのは3年ほど前。左脚の太ももにしびれを感じるようになった。病院で診察を受けても原因を特定できず、症状は悪化。大会に出場しても制限時間内に完走することは困難になり、リタイヤを繰り返した。やがて、歩くこともままならなくなり、今年3月に「パーキンソン病の可能性がある」と診断された。
「要介護1」に認定された平野さんは中広のリハビリ特化型デイサービス「でんでん倶楽部」で週2回のリハビリを始めた。「体を動かすことが楽しくて仕方がない」と順調にメニューを消化。新しく処方された薬の効果もあり、6月には自宅近くの坂を自力で登れるようになった。
ケアプランを立てている坂越のデイサービスセンター「いきしま」所長の細川福成さん(38)に「赤穂シティマラソンに出たい」と思いを打ち明けたのはそのころ。熱意を感じた細川さんは「僕も一緒に走りましょう」と支援を約束した。
2人が出場するのは今大会から新設された「ファンランの部」(3・8キロ、制限時間40分)。平野さんは自宅から尾崎トンネル近くの地蔵尊まで片道約1・9キロのコースで練習している。調子が良い日は40分以内で往復できているという。
「走ることをあきらめかけたこともあったが、リハビリと治療のおかげで大会に挑戦できることがうれしい。何とか制限タイム内でゴールして自信をつけたい」と平野さん。大会当日は“勝負服”にしている妻・佐和恵さん(74)手製の義士はっぴを着て出走する。細川さんは「生きがいや目標があることが元気につながると思う。完走の一助になれるように、しっかりバックアップする」と話している。
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