2015年12月05日
高野の安定型産廃最終処分場設置計画をめぐり、明石元秀市長は「市民の不安が払拭されない限り反対」としているが、市が事業者との締結へ向けて公表した環境保全協定案は、市民の不安を払拭するにはほど遠い内容だ。
協定案には、周辺環境や水質に変化や異常があった場合、処分場の操業を停止する条項があるが、「事業者に原因があると確認」することが条件に加えられている。市産業廃棄物担当によれば、この「確認」を行うのは市、県、事業者だという。つまり、何か異常があっても、市や県、事業者が「事業者に原因あり」と認めない限り、操業は止まらない。
仮に、事業者に原因があると確認されたとしても、その問題を解消する期限は何の取り決めもない。事業完了後の水質検査で管理目標値を超えた場合は「速やかに搬入産業廃棄物を全量除去すること」と定めるが、「速やか」というような、解釈幅のある文言が使われている。
市は「協定に期限や罰則を設けることは難しい」(同担当)と言う。
しかし、施設使用期限を具体的に定めた公害防止協定の法的効力が争点となった裁判で最高裁は、「法的拘束力を否定することはできない」との判決を下している。つまり、法令を超える厳しい規制基準を協定に盛り込むことは不可能ではない。
何の役にも立たない「紳士協定」にしないためには、少なくとも各条項に着手と完了の期限を設定する必要がある。そして、期限内に問題を解消できなければ、処分場を廃止して全量を除去するというところまで定めておくべきだ。また、除去の方法や場所について、あらかじめ事業者が市に計画を提出することも盛り込みたい。
産廃処分場が公害問題を引き起こした事例は全国各地でみられるが、それらはすべて計画段階では「安全」だとして行政が設置を許可したものだ。その中には自治体と事業者との間で協定を結んでいたものもあるが、事業者が責任を認めなかったり、約束を守らなかったりで、結局裁判になることがほとんどだ。そして、判決が出て強制執行されるまで公害は出続ける。
協定によって市民の不安を払拭することが本当に可能なのか、疑問に思えて仕方がない。
[ 社説 ]
掲載紙面(PDF):
2015年12月5日(2164号)3面 (16,296,235byte)
コメント
だまっていられない人は、こういう場で、思う事や異見を言うのが素晴らしいと思いますが?
他人様に説教はするつもりはありませんが、自分と違う意見であっても偉そうに上から目線で人の意見に対して無礼なモノの言い方は慎むべきです。
違う意味合いで、新聞社にご迷惑をかける。
ネット投稿のやり取りは、世界中の人が見ており、書き込む人間の頻度・モラルの程度が透けて見えているのが解っていれば、自然と慎重になるはずですがね・・・・
チョット、記事と関係のない余談になりましたかもですが、民報さんには頑張ってもらいたく思います。
投稿:節度を持って 2015年12月05日
市民にとってここがストレス発散の場なんやったら、
書き込んでる人は普段どないな生活してる言うねんな?
投稿:覆面居士 2015年12月05日
いいね!
投稿:いいね! 2015年12月05日
少なくとも新聞社は、身元がはっきりしており、発言の責任をもって物申すスタイル。
ところが、残念な事に、投稿する側は匿名投稿で、事実であっても、その主張の証拠も出せない或いは、ない無責任な言い捨てになります。
これは、仕方のないことですが、新聞社や記事の批判は、そもそも同じ土俵の上での討論ではありません。
なので、私は、投稿コメントに対する応対は新聞社は静観でいいと思いますよ。
私には、非常に危険な親切に移りますが・・・・
難しい、新聞としては非常にめずらしいコメント欄のいちファンとしてそう思います。
投稿:市民のストレス発散の場 2015年12月05日
「赤穂浪士」さんへ。
「事業者にもっと取材してメディアの力で事業を阻止するよう取り組んではいかがですか。」とのご提案をいただきました。事業者は取材に「県と市の指導を受けながら事業を進めていきたい」と話しています。
http://www.ako-minpo.jp/news/10577.html
事業者は、今のところ、言葉のとおり、県と市の指導に従っています。この協定も赤穂市が要望し、赤穂市が原案を作ったものを基に結ぼうとしています。
事業計画に何らかの不備や問題点があれば指摘するつもりです。もし、「赤穂浪士」さんが何らかの不備や問題点をご存知でしたら、お知らせください。取材します。
「行政批判が文章の文言の言葉尻ばかりあげつらうようでは、実効力に乏しい。」とのご批判をいただきました。
赤穂市が事業者と結ぼうとしている協定は、「文章」「文言」で表わされるものです。あなたの言う「言葉尻」で意味や実効性が大きく変わります。そこを指摘するのは重要なことと考えていますが、あなたはそう思いませんか。
「批判だけでなく行動でしめせ。」とのご意見をいただきました。赤穂民報にとって「行動」とは「取材&記事執筆&編集発行」です。それが本紙の本分です。その意味で、これからも「行動」してまいります。
「ただ疑問に思うだけの社説など、独り言に等しい。」とのお言葉をいただきました。
「社説」は社の主張や意見などを述べるものです。言うなれば、あなたの言うとおり「独り言に等しい」です。とはいえ、誰もいないところでぼっそりしゃべる「独り言」や、名前も示さずに投稿するコメント欄の「独り言」とはわけが違いますので、責任を持って「独り言」を書いています。
投稿:赤穂民報 2015年12月05日
行政批判ばかりでなく事業者にもっと取材してメディアの力で事業を阻止するよう取り組んではいかがですか。行政批判が文章の文言の言葉尻ばかりあげつらうようでは、実効力に乏しい。批判だけでなく行動でしめせ。ただ疑問に思うだけの社説など、独り言に等しい。
投稿:赤穂浪士 2015年12月05日
※コメントは投稿内容を赤穂民報社において確認の上、表示します。
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