2016年01月16日
毎回好評のコラム「かしこい子育て・教育・介護」。これまでコラムを担当した加藤明学長に関西福祉大学の教員4人を新たに迎えた執筆陣がリレー形式でお届けします。今回は社会福祉学部の中村剛教授です。
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―“かけがえのなさ”の意味―
私たち人間はいろいろなことを知っています。しかし、意外に“大切なこと”については、分かっているようで知らないものです。このコラムでは、そんな“大切なこと”を吟味し、その意味を露わにしてみたいと思います。1回目は“かけがえのなさ”です。
私たちは「時」を刻んで生きています。これは、絶えず未来が「いま現在」に訪れ(未来を今に刻み)、「いま現在」が過去になっていく(過去を今に刻む)ということです。私たちは未来に対して夢を見ながら、でも、必ずしも思うようにいかない「いま現在」(現実)を生きています。
そんな「いま現在」をよく見てください。そこには、一人ひとりが歩んで来た人生の日々が、地層のように積み重ねられています。その中には思い出される過去もあれば、二度と思い出すことができない過去もあります。それらをひっくるめて、その人がこれまで「時」を刻み歩んで来た人生は、決して他の人の人生と交換することのできない唯一無二の“かけがえのないもの”です。
“かけがえのなさ”にはもう一つの意味があります。社会にはたくさんの人がいます。知らない人、関わりのない人の方が多くても、何らかの形で出会い、仲良くなると(特に恋人あるいは夫婦になると)、その人は私にとって“かけがえのない人”になります。これは、サン=テグジュペリの名作『星の王子さま』で、キツネが王子さまに教えてくれたことです。
「時」を刻む私たちの人生と、仲良くなった(恋した)人は、“かけがえのなさ”という素敵な感覚をもたらしてくれます。そうした人生と人たちに感謝しながら、時折、暮らしの中で“かけがえのなさ”を感じたいと思います。(中村剛・関西福祉大学社会福祉学部教授)
[ かしこい子育て ]
掲載紙面(PDF):
2016年1月16日(2169号)4面 (12,463,800byte)
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